管理規約改正支援にあたって思うこと
本日は、区分所有法改正内容の第2回目で、太字箇所が改正(追加)箇所です。
はじめに、管理規約の制定、変更及び廃止についての規定ですが、共用部分の変更と同じく、総会の成立を区分所有者と議決権数の過半数の出席としたうえで、出席者数の4分の3以上及び出席者の議決権数の4分の3以上となります。この総会の成立については、規約で過半数を上回ることを可能としています。ただし、可決の割合の4分の3以上は、共用部分の変更のときのように規約で変更することはできません。ここでの区分所有者には、やはり「所在等不在区分所有者」は議決権を有していないとして除きます。
(規約の制定、変更及び廃止)
第三十一条 規約の設定、変更又は廃止は、集会において、区分所有者(議決権を有しないものを除く。以下この項前段において同じ。)の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)の者であつて議決権の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)を有するものが出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各四分の三以上の多数による決議によつてする。この場合において、規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。
2 前条第二項に規定する事項についての区分所有者全員の規約の設定、変更又は廃止は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者(議決権を有しないものを除く。)の四分の一を超える者又はその議決権の四分の一を超える議決権を有する者が反対したときは、することができない。
規約の保管と閲覧に関する第三十三条には、電磁的記録により作成された規約の保管と閲覧の条文が追加されています。
(規約の保管及び閲覧)
第三十三条 (略)
2 (略)
3 規約が電磁的記録で作成されているときは、第一項の規定により規約を保管する者は、前項の規定による当該電磁的記録に記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧に代えて、法務省令で定めるところにより、同項の請求をした利害関係人の承諾を得て、当該電磁的記録に記録された情報を電磁的方法により提供することができる。この場合において、当該規約を保管する者は、同項の規定による閲覧をさせたものとみなす。
4 (略)
また、区分所有者による集会の招集の際についても、議決権を有しないもの者を除いた区分所有者の五分の1以上(この定数は、今までどおり規約で減ずることは可能です。)となり、通常の集会も含めて、議決権を有しない区分所有者には招集通知をする必要がなくなります。
次に、議決権を有しない「所在等不明区分所有者」について、新たな規定が設けられることになります。
所在が不明な区分所有者(この区分所有者を「所在等不明区分所有者」ということになります。)を集会の決議数から除外するためには、まず管理者(一般的に理事長)が、除外のための集会の決議をしても良いですかと、裁判所に請求しなければなりません。そして裁判所が許可すれば、集会の議決から除外することができるようになります。
(所在等の不明区分所有者の除外)
第三十八条の二 裁判所は、区分所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、当該区分所有者(次項において「所在等不明区分所有者」という。)以外の区分所有者(以下この項及び第三項において「一般区分所有者」という。)又は管理者の請求により、一般区分所有者による集会の決議をすることができる旨の裁判をすることができる。
2 前項の裁判により所在等不明区分所有者であるとされた場合は、前条の規定にかかわらず、集会における議決権(当該裁判に係る建物が消滅したときは、当該建物に係る敷地利用権を有する者又は当該建物の附属施設(これらに関する管理を含む。)の共有持分を有する者が開く集会における議決権)を有しない。
3 一般区分所有者の請求により第一項の裁判があつたときは、当該一般区分所有者は、遅滞なく、管理者にその旨を通知しなければならない。ただし、管理者がないときは、その旨を建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。
最後に、議決の方法では、書面(電磁的方法も含む。)又は代理人による議決権の行使の場合も、従来はできるだけの記述でしたが、その場合には区分所有者の人数及び議決権数に算入することを明記しています。
(議事)
第三十九条 集会の議事は、この法律又は規約に別段の定めがない限り、出席した区分所有者(議決権を有しないものを除く。)及びその議決権の各過半数で決する。
2 議決権は、書面又は代理人によつても行使することができる。この場合において、書面又は代理人によつて議決権を行使した区分所有者の数は出席した区分所有者の数に、当該議決権の数は出席した区分所有者の議決権の数に、それぞれ算入する。
3 区分所有者は、規約又は集会の決議により、前項の規定による書面による議決権の行使に代えて、電磁的方法によつて議決権を行使することができる。この場合においては、電磁的方法による議決権の行使を書面による議決権の行使とみなして、同項後段の規定を適用する。
そのほか、共有者がいる場合の議決権の行使については、従来は一人を定めなければならないだけでしたが、「各共有者の持分価格」に従って定めることが追加されています。
(議決権行使者の指定)
第四十条 専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数をもつて、議決権を行使すべき一人を定めなければならない。
次回は、所在等不明区分所有者の管理に関する新たな規定について紹介させていただきます。
区分所有法の主な改正内容(1)