修繕積立金に関するセミナー資料
高知市内の中古分譲マンションの修繕積立金の金額が気になりましたので、ネット上で掲載されている物件のお部屋の修繕積立金を一度調べてみました。調べたのは昨年の12月初旬で、その時点での建物概要及び修繕積立金を下記のような表にまとめてみました。
表は、左から、「築年数」「階数」「総戸数」「修繕積立金」で、次に「30年間の修繕積立金総額」「大規模修繕工事の2回分費用」「大規模修繕工事費用占有割合」となっています。
「修繕積立金」は、売りに出されているお部屋の1カ月の㎡単価の修繕積立金です。全てのお部屋の金額はわかりませんので、この表では、全てのお部屋は一緒の修繕積立金額とし、またお部屋の広さも全て同じ70㎡としています。
そうしますと、値上げせずに今のままの修繕積立金ですと、「30年間の修繕積立金総額」は次のようになります。
70(㎡)×1カ月の㎡単価修繕積立金×総戸数×360(ヶ月)・・・・・・・・・・ (A)
次に「大規模修繕工事の2回分費用」は、1戸あたり100万円かかるとして計算しますと、
2回分の費用は、100(万円)×総戸数×2(回)・・・・・・・・・・ (B)となります。
したがって(B)÷(A)は、大規模修繕工事2回分の費用が、30年間の修繕積立金総額のどれぐらいを占めているかの数値となります。それが「大規模修繕工事費用占有割合」です。
例として、No1のマンション「ASハイライン」で見てみますと、
「30年間の修繕積立金総額」は、70×138.6×60×360=209,653,920で
「大規模修繕工事の2回分費用」は、1,000,000×60×2=120,000,000となり、
「大規模修繕工事費用占有割合」は、120,000,000÷209,653,920=57.24%です。
7年前後で見直しが行われる「長期修繕計画」は30年間の工事実施計画で、その実施のために必要な修繕費用が算出され、組合員の皆様から月々の修繕積立金が徴収されます。
長期修繕計画での30年間の工事総額費用を(C)とし、計画されている大規模修繕工事2回分の費用を(D)としますと、私の顧問先で作成された長期修繕計画では、(D)÷(C)は、ほとんどが30%前後です。建物の構造や、共用部分の内容の違いによって、この数値は変わってくると思いますし、多額を要する窓サッシの更新工事の有無によっても変わってくるとは思いますが、適正に作成された長期修繕計画では50%を超えることはありえないです。40%を超えると、大規模修繕工事以外の改修工事や改良工事の実施が制限されることになり、資産価値の維持が困難になってしまいます。
上記の表を見ますと、明らかに適正な修繕積立金を徴収されているのは、黄色で塗りつぶしたNo4の「アルファガーデン本町」、No26の「ダイアパレス上町」、No30の「ダイアパレスはりまや橋」です。この3つのマンションは築30年を少し経たところで、修繕積立金の㎡単価は2万円を超えています。推測するに、分譲時からこの金額を徴収したわけではなく、何度か見直しされたもので、現在は「段階増額積立方式」ではなく「均等積立方式」で徴収されているものと思われます。
反対に割合が100%近い又は超えている(赤字)マンションでは、まずは適正な長期修繕計画が作成されていないか、作成されていても算出された修繕積立金が徴収されていない又は段階を踏んでいる途中だと考えられ、このままですと大規模修繕工事の実施は難しく、緊急を要する箇所だけを場当たり的に部分改修していくことになります。これは、あくまでネットで掲載された時点でのことですので、現在、長期修繕計画の見直しをされて修繕積立金の徴収額を検討されているマンションも当然あると思います。
また緑色で塗りつぶしたNo16の「クレアホームズ大川筋」(築4年)、No14の「アルファライフ高知中央公園」(築5年)、No36の「ビ・ウェルフレックス北本町」(築3年)、No37の「ポレスター上町レジデンス」(築2年)、No38の「ポレスター南川添」(築5年)、No41の「レーベンはりまや橋MID COURT」(築2年)は分譲されて間がないマンションで、「段階増額積立方式」によりかなり低い金額で設定されていますので、できる限り早めに増額の検討をしていただければと思います。そして、その際には、「均等積立方式」での徴収額で検討されることを望みます。増額分は大きくなるかもしれませんが、そのあとの見直しの際には増額分はかなり少なくなって楽になりますので、是非ご検討下さい。
上記数値は、お部屋の広さや、1㎡当たりの修繕積立金額、大規模修繕工事1戸当たりの費用は、あくまで仮定した数値ですので、皆様のマンションの修繕積立金の金額が適正なのかどうかを検証されるときには、「大規模修繕工事費用占有割合」はあくまで一つの目安として見ていただければと思います。