「段階増額積立方式」での値上げ幅を制限
東京カンテイが「新築・中古マンションのランニング・コストに関する調査レポート(2023年)」を発表しましたので、その中の近畿圏に関する内容をお知らせしたいと思います。
まず、新築マンションについて見てみます。近畿圏の新築マンションのランニング・コスト(管理費+修繕積立金+修繕積立基金)のうち、管理費(70㎡換算、以下同じ)については前年比+7.8%の13,167円/月と7年連続で上昇しています。修繕積立金(70㎡換算、以下同じ)は前年比+6.1%の7,311円/月で、こちらの方は3年連続の上昇です。管理費と修繕積立金とを足した管理費等は20,478円/月となっています。修繕積立基金の方は、592,134円で前年比+4.4%です。
また近畿圏のうち大阪府だけで見てみますと、以下のとおりとなっています。
・管理費 13,233円/月(前年比+13.8%)
・修繕積立金 7,863円/月(前年比+13.6%)
・修繕積立基金 606,029円(前年比+3.7%)
ちなみに首都圏は29,087円/月で、管理費は初めて2万円の大台(20,358円/月)に達しています。
次に、近畿圏の中古マンションを見てみますと、築5年の中古マンションの管理費は10,528円/月、修繕積立金は6,571円/月で、管理費等は17,099円/月、築10年の中古マンションの管理費は11,157円/月、修繕積立金は11,413円/月で、管理費等は22,570円/月となっています。築10年以上の中古マンションの管理費等は2.2万円前後の水準となっています。大阪府だけの中古マンションは以下のとおりです。
<築5年>
・管理費 10,361円/月
・修繕積立金 6,890円/月
・管理費等 17,251円/月
<築10年>
・管理費 11,097円/月
・修繕積立金 12,784円/月
・管理費等 23,881円/月
また、東京23区の中古マンションは以下のとおりとなっており、やはり突出して高いです。
<築5年>
・管理費 19,980円/月
・修繕積立金 9,135円/月
・管理費等 29,115円/月
<築10年>
・管理費 17,673円/月
・修繕積立金 14,009円/月
・管理費等 31,682円/月
築年帯別の月額平均を見てみますと、管理費と修繕積立金で傾向が大きく異なっており、築15年前後までは管理費は減少傾向、修繕積立金は上昇傾向と、真逆の動きをしており、修繕積立金については、築年の新しい時期のほうが金額は低く、築5年から築10年ぐらいまでは極端に上昇し、築10年を超えると上昇が緩やかになっています。
この理由は明白で、分譲時に繕積立金の徴収方法を「段階増額積立方式」を採用して金額を低く抑えて、5年ごとや10年ごとなどに修繕積立金の増額を行っていることです。
ここまで、東京カンテイの公表内容を見てきましたが、今後も、人件費や建築資材の高騰などによる管理費等が上がっていくものと思われます。管理会社からの委託費用値上げの打診間隔も年々狭くなってきており、一昨年値上げしたばかりなのに、今年も値上げを打診された管理組合様は、このところ本当に多いように思えます。昨日の日本経済新聞によりますと、本年度の最低賃金を全国平均で50円上げることが決まったようです。これでまた、管理委託費用の中の人件費の値上げが打診の要因となってくるのかもしれません。
東京カンテイ調査レポート
「新築・中古Mのランニング・コストに関する調査レポート」
日本経済新聞記事
「最低賃金、全国平均1054円 上げ幅50円は過去最大」