「マンション管理適正化シンポジウム」開催のお知らせ
この時期になりますと、養生シートに被せられたマンションが竹の子のように姿をあらわすようになります。大規模修繕工事は実施時期により大きく春工事と秋工事とに分けられ、秋工事が始まるのが8月のお盆明けから9月上旬にかけてです。工事は、現場事務所や作業員休憩所、仮設トイレ、仮設洗い場、そして資材置場等の、いわゆる共通仮設工事と呼ばれる工事から始まり、その後足場が架設されて、その上から養生シートが被せられます。それが今ぐらいの時期ですので、竹の子ように出現するのです。
この養生シートに被せられた足場を悪用してマンションのバルコニーに侵入するケースがあり、足場がない普段よりも強盗などの犯罪が多くなっています。警察庁の犯罪統計では、住宅を対象にした強盗の認知件数は20年ほど前から漸減傾向にあったものが、昨年の2022年は前年と比較して20%ほど増えており、そのうちの20%は中高層住宅、つまり集合住宅が占めているようです。
施工会社も工事中の防犯対策に注力し、選定前のヒアリングではほとんどの施工会社が防犯対策について以下のようなものを提案してきます。
・足場の周囲に金網を仮囲いし、第三者侵入防止のための施錠付き出入口を設置
・サッシ用補助ロックの貸し出し
・ガラス破り防止フィルムの提供
・作業員と第三者とを識別するために社名入りのベスト又は腕章を着用
施工会社の提案の違いは、サッシ用補助ロックを貸与ではなく無料配布を行う会社、ベスト等にセンサーを装着して作業員であることを認識できるようにする会社があります。また、人感センサーカメラを設置する会社や、養生シートに「侵入警報システム作動中」と書かれた大きな幕を掲示する会社もありますので、最終選定を行う前にヒアリングをされる際には、防犯対策をしっかりお聞きしてもらえればと思います。また、足場の架設時期や資材搬入時における警備体制もお聞きして下さい。
現在既に足場が架けられて工事中のマンションでは、上記提案の防犯対策がなされていても、決して万全ではありませんのでご注意ください。人的ミスにより防犯対策が無意味なものになる可能性もあるからです。例えば足場を囲った金網出入口の施錠をし忘れることや、作業員が出入りしやすいようにエントランス以外の出入口、例えば駐輪場の出入口のドアの鍵穴口を養生テープでふさいで鍵が閉まらないようにすることを許可してあげても、1日の作業終了後に養生テープを外し忘れて帰ってしまうことです。私が以前お手伝いさせていただいたマンションで実際にあったことは、先ほどの養生テープの代わりに管理組合の許可なしにペッボトルを挟んでドアが閉まらないようにして、それをそのままにして帰ってしまった作業員がいました。これを問題視したこのマンションの管理組合様は、それ以降、施工会社には施錠確認箇所と管理表を作成させて2重チェック体制で施錠確認をさせ、以下のような報告書を毎日提出させました。
また、エントランスがオートロックの場合、オートロックの暗証番号を教えたり、鍵を期間中貸与するケースも見受けられますが、暗証番号を第三者に教えられる可能性や、貸与した鍵を複製されたりする可能性がありますので、その場合には、借用書と複製しない等の誓約書を提出させる、また暗唱番号も第三者に知られることがないように十分注意を払う必要があります。
工事中に犯罪や事故が一切発生せずに竣工を迎えられますように、防犯、事故対策を施工会社とともに協議していただければと思います。