大規模修繕時にも、「法定福利費」を工事費用見積りに明示

小堀將三

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テーマ:大規模修繕工事

 建設作業員の社会保険未加入状態については、以前から問題視されていましたが、3月16日に、適正な請負代金の設定や作業員の安全・健康の確保を基本理念に盛り込んだ「建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律」が施行されました。また同日には、国土交通省から各関係団体に、法定福利費の確保による建設業の社会保険等未加入対策の推進について通知されました。通知内容は、「必要経費」と位置付けた法定福利費が盛り込まれた予定価格で契約するよう、工事の発注者に理解を求めるもので、マンションの大規模修繕工事の際にも、設計監理コンサル会社は勿論こと、工事発注者である管理組合にも理解と協力が必要であるというものです。



 この法定福利費ですが、これを算出するには幾つかの方法があるようで、一般社団法人マンション計画修繕施工協会(MKS)が作成したガイドラインでは、法定福利費を工事別に計算されており、各工事費に工事項目ごとに設けられた「労務費率」を乗じて得た数値に法定保険料率を乗じて算出されています。 
 つまり、法定福利費=工事費×労務比率×法定保険料率 です。
ちなみに、この法定保険料率は各都道府県によって違い、大阪の場合ですと、15.596%です。たとえば、躯体補修(標準労務比率75.6%)の工事費用が1000万円とすると、躯体補修での法定福利費は、1000×0.756×0.15596=117.90576、で、約118万円となります。
 大規模修繕工事の各施工業者の見積書に、この法定福利費が明示されていることは稀であるため、明示していないが法定福利費を計上している見積金額と、もともと法定福利費を計上していない見積金額とを比較すること自体無理があります。今後大規模修繕工事の見積を依頼する際には、法定福利費の分が高く見積されますが、作業員の安全・健康の確保を図り、適正な工事を実施するための“必要経費”と思って、見積書に法定福利費の見積項目を設定していただければと思います。

  詳細はこちら
  社会保険等未加入対策の徹底に関する通知

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小堀將三
専門家

小堀將三(マンション管理士)

マンション管理士事務所JU 高知オフィス

第三者の立場に立って絶えず公平な判断を下し、管理組合様と管理会社の良好な関係ができるよう、両者をつなぐ役目となることを目指します。大規模修繕工事、管理規約の見直しなど、様々なお悩みに寄り添います。

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