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穂盛正明

高知の地盤を知り尽くした地盤調査・補強工事のプロ

穂盛正明(ほもりまさあき)

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コラム

ガケ条例について

ガケ条例

2017年7月11日

今回の九州豪雨で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。

広島災害の時に書いたコラムです。
減災の参考にどうぞ。
コラム:命を守る住宅と地盤 -広島災害からの教訓-
天災を防止する事は難しいですが、
減災をすることは可能です。
パッシブセーフティーの考え方をプラスしましょう。

 ガケ条例についてご質問をいただきましたので
私が分かる範囲でご説明させていただきます。

 建築士様を含め建築関係の方はご存知と思われますが、
ガケ条例については、各県で温度差が大きい条例です。
 高知県でも過去に一時期厳しい運用の時期があり、
建築士さんや工務店さん泣かせのハードルとなっていました。
 離隔距離もそうですが高さも各県で規定が違っており、
以前に調べた段階では、四国内でも規定はバラバラで
高知・香川では、高さ3m以上・離隔距離2倍以上、

徳島では、高さ3m以上・離隔距離1.75倍以上、
たしか愛媛県にいたっては、上下で高さが違っていて
崖の上段が3m、下段が5m、離隔距離は共に1.75倍
なんて事になっていたと思います。(違っていたらすいません)
他県では高さ2mが一般的と聞いたこともあります。

 私たち地盤屋からすると、ガケに近接する場合には、
地盤調査報告書の方には注意事項として
「既存擁壁(ガケ)については別途安全性の確認が必要です。」
などと、注意事項として記載を入れてますが、
後日確認すると普通に完成しているなんて事もあったりします。
結局のところ、最終的に監理する建築士様が文章を書いて
安全確認印を押せば通ってしまうのが実状の様です。
 また他県では、役所が施工した擁壁と民間施工の擁壁とで
除外規定など、対応が違うことがあるらしいですが、
高知県内においてはあまり聞いたことがありません。
規定除外の根拠を考えるに、
「役所としては、ガケ対策としてキチンと検討、計算して
土留めをしているので再確認は不要です。」
といったところでしょうか?
それなら役所も根拠を明示するべきでしょう。

 ガケ条例にある角度についてです。
30度という角度については、土の安息角が根拠にあります。
砂浜などで砂を手に握って少しずつ落としてみてください。
砂が富士山の様に、円錐状に山になっていきますよね?
分かりやすくいうと、この時の山裾の角度がだいたい30度です。
当然ですが、砂以外の材料では角度が大きく変わりますが、
この時の角度が、いわゆる「安息角」といわれます。
この事から「盛土材料が不明な場合にガケ崩れが起きても、
土が安定する30度より外なら安心ですよ。」ということです。
そういった意味で離隔距離は√3なので=1.732
≒1.75倍・余裕をもって2倍としていると考えられます。
また、地盤調査などで切土と判断できるのであれば、
45度でもOKとしてくれる場合もあります。
ただ、今回の九州北部の豪雨などの土砂崩れでは、
「水を多く含んだ土砂」というよりも「泥水状」となるので、
角度は0に近くなりますので広範囲に影響があります。
擁壁の水抜き機能が十分なのか注意が必要です。 

 ガケ条例での大きな問題としては、
①ガケや既存擁壁の安全性を確認する方法が確立されてないこと。
②2m以上の土留め擁壁には構造計算が必要になるはずなのに、
  ガケ条例の高さは3m以上が対象となっており整合性が無い事。
③地震や豪雨でも大丈夫という事ではない。
といったところでしょうか。
それ以上に、建築士様がその責任を担保しなければならない事が
責任が重大過ぎるようにも思います。

 既存擁壁の安全性の確認方法については
国交省が出している我が家の擁壁チェックシートが有用でしょうか?
私が知る範囲では、これくらいしか使えるものがないと思います。
 この中でも空石積擁壁や空積み間知ブロック(石)は対象外になっており
宅地には適さないとされています。注意しましょう。
特に間知ブロックについては、あくまで切土の土留めに使用するものであり、
盛土に使用するべきではありません。
ですが現場では施工の段階で、山の斜面のキツイ湾曲部をできるだけ
緩やかな直線状にする為に、裏側が地山と隙間が大きく空いており、
実際には裏込めが盛土状態のものが散見されます。
 時折みられる、コンクリートブロックも当然土留めとしては不適格です。
また、見た目はコンクリートブロックでも、擁壁として使用できる
擁壁ブロックという商品もありますが、これは規定通りの施工方法で
築造されたか確認した方が良いでしょう。
 余談になりますが、田んぼや畑の横に擁壁を築造する場合には、
耕作土部分についての側方土圧は期待できないので、
擁壁の根入れは十分に取った方が良いでしょう。

 長くなりましたが、既存擁壁の安全性の確認は非常に難しいです。
擁壁チェックシートや地盤調査、既存資料などにより十分に検討して、
安全性が確認できない場合には基礎の根入増しやラップルコンクリート、
地盤改良などの対策をあらかじめ講じておくことが、
お互いのリスクヘッジになると考えられます。



以下資料についてもご参考ください。
宅地造成等規制法の概要
宅地防災マニュアル
宅地耐震化推進事業

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