「100−年齢」って知ってますか? 退職金運用のヒントになる考え方

西山隆詞

西山隆詞

テーマ:お金の話


「退職金をもらったんですけど、どれくらい運用に回していいんでしょうか?」 最近、こういったご相談が増えています。

「老後が心配。でもリスクはできるだけ取りたくない」 そう思うのは、ごく自然なことです。実際、投資信託や株はまだ一度も買ったことがないという方も多く、 「何から始めればいいかわからない」と感じる方がほとんどです。

今回は、そんな“運用に興味はあるけど、まだ一歩を踏み出せていない方”に向けて、私が普段お伝えしている考え方を、3つのステップでご紹介します。


ステップ①:まずは“生活防衛資金”を確保する

最初にお伝えしたいのは、「そもそも運用の前に、いざという時のお金は足りてますか?」ということです。

これは“生活防衛資金”といって、病気やケガ、仕事の変化など、何かあったときのために備えておくお金のこと。目安としては、生活費の6ヶ月〜1年分くらいを、元本割れのない形(たとえば普通預金や定期預金)で持っておくと安心です。

今回ご相談いただいた方は60歳の男性で、「まだ何に使うか決めていない退職金もあって…」というお話だったので、まずはこの“いざという時用”のお金をきちんと分けて考えるところから始めました。


ステップ②:この先10年を想像してみる

生活防衛資金を確保したら、次に考えるのが「これからの10年で使うかもしれないお金って、どんなことがあるかな?」という部分です。実際に出てきたのは…

・家の修繕が必要になるかもしれない
・車を買いかえる予定がある
・もし地震がきたら…そのときの備えもしておきたい

などなど。こういった「10年以内に出ていく可能性があるお金」をリストアップしていくと、「これはリスクを取らずに置いておいたほうがいいですね」と整理しやすくなります。

ここまでは、いわば“準備運動”みたいなものです。焦らず、順を追って考えることが大切です。


ステップ③:「リスクを取る運用」は人によって違います

ここからようやく、「じゃあ、どれくらいなら投資にまわせるのか?」という話になります。

ひとつの目安としてよく使われているのが、「100−年齢=リスク資産の割合」という考え方です。

たとえば60歳の方なら、100−60=40なので、資産のうち40%くらいを“値動きのあるもの”で運用していくイメージ。残りの60%は、元本保証のある資産で安全に持っておく、というバランスです。

ここでいう“リスク資産”というのは、たとえば投資信託や外国債券、株式など。「増えるかもしれないけど、減る可能性もある」そんなお金の置き場所ですね。

一方で、「残りの60%は運用していない」というわけではなくて、普通預金や定期預金、個人向け国債など、“減らさないことを重視した運用”にまわすイメージです。

なぜ“年齢”で考えるのかというと、年齢が上がるほど「お金を使うまでの時間」が短くなって、リスクを取れる期間も限られてくるから。若い人は時間を味方にして増やせますが、60代・70代の方は「守ること」を意識したほうが安心です。

もちろんこれはあくまで目安なので、どんな目的のお金なのか、いつ使うのかを考えながら、人それぞれに合わせて調整していくことが大切です。

増やすことと、減らさないこと。両方ちょうどよくできたら、それが一番ですね。

資産運用と聞くと、すぐに投資信託や株を買うイメージがあるかもしれませんが、本当に大事なのは、“生活に必要なお金”と“これから使うかもしれないお金”をちゃんと見分けておくこと。

そのうえで、「これくらいならリスクを取ってもいいかな」と思える分だけ運用していくのが、いちばん現実的で、続けやすい方法だと思います。

これから何が起こるかは誰にもわかりませんが、大事なお金だからこそ、「増やすこと」と「減らさないこと」——両方のバランスを意識して、無理なくうまく活かしていけたらいいですね。

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西山隆詞
専門家

西山隆詞(ファイナンシャルプランナー)

ファイナンシャルアライアンス株式会社 高知支店

高知駅北口の総合保険代理店はベテラン揃い。保険が全く分からない方でも納得の見直しができるよう丁寧にアドバイス。解決策は保険会社30社以上のいいとこどりプランにて。子育て世代の保険選びは特に強み。

西山隆詞プロは高知放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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