都市山林問題と相続土地国庫帰属法 ~土地家屋調査士の視点~
1. 相続対策としてのその重要性
土地を相続する際、問題になるのがその境界線です。
争いを避け、相続人がスムーズに資産を引き継げるように、
生前に境界確定測量を行うことが重要です。
今回はその理由と、境界確定測量の必要性について説明します。
2. 境界確定測量とは?
境界確定測量とは、土地の境界線を正確に確定する作業のことを指します。
これにより、土地の面積や形状が明確になり、隣地との境界も明らかになります。
土地家屋調査士が実施する業務です。
3. 境界確定測量の時間的な制約
境界確定測量は、時間がかかる作業です。特に官民境界が未確定の場合は、
3〜6か月の期間を要することもあります。さらに、相続税の申告期限は10カ月です。
境界確定測量が間に合わないと、売買が確定しない為に、
相続税の申告が間に合わない可能性があります。
そのため、生前の早い段階で境界確定測量を行うことが重要となります。
私の経験談として、相続発生から官民境界を確定させ、地積更正登記を完了を、
10か月で完了させるというのは、相当に厳しいスケジュールでした。
4. 国有地や市区町村の廃道との境界確定
自分の土地に、青地(国有地)や、市区町村の廃道が入り込んでいることも
少なからずあります。
そういう時は、青地や廃道との境界確定手続きや、
青地や廃道の払下げや時効取得の手続きが必要となることもあります。
これらの手続きは時間がかかるため、相続の期限に間に合わせるためにも
早めに行うことが重要です。
5. 建築基準法の道路ラインと境界確定測量
境界が確定していたとしても、相続した土地の私道の建築基準法の道路のラインが
不明確な為、宅地の面積を割り出せない事もあります。
そのような時は、各市区町村の建築指導課との協議が必要になる事もあります。
6. 借地や底地の場合の注意点
不明確なまま相続すると、底地人と借地人との間で問題が起きる可能性もあります。
借地権の範囲を明確にし、争いを防ぐためにも、
生前に境界確定測量を行うことをおすすめします。
7. 60代での境界確定測量の取り組み
境界確定測量は、土地家屋調査士に依頼するとしても、
自身の土地についての過去の記憶が求められたり、
土地家屋調査士と相談して判断する事も少なからずあります。
それなりに大変な作業です。
そのため、仕事を引退して間もない60代のうちに取り組むのが最良と言えます。
相続について考えるよりも前に、自身の土地の境界を確定しておくことは、
あなた自身、そして相続をするご家族にとっても有益な選択となるでしょう。
このように、境界確定測量は相続対策として極めて重要なものです。
特に、相続の期限が迫ってからでは遅いため、
生前のうちに進めておくことを強く推奨します。