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2022年問題の再考
5年前、私が参加したある勉強会で、都市部の農地に
焦点を当てた講義を聞く機会がありました。
勉強会では「2022年問題」について熱く語られていたことを覚えています。
講師の先生は、都市部で農業を続ける事の困難さについて、
農家の方からしみじみと聞かされていたようです。
都市農家の苦労の生の声を伴った解説は、大変な説得力があり
2022年には生産緑地が大量に市場に出回り、
不動産市場に混乱が生じるのではと予想されていました。
2022年問題の実際
私としては、土地家屋調査士事務所を運営する立場として
大規模な開発許可申請を目的とした測量の相談が急増するものの、
その後に不動産市場が混乱するということについて
危惧をしていましたが、実際は、そのような動きは見られませんでした。
どういうことなのか、考えを巡らせてみました。
農地問題の実態
当時の勉強会のメモをみていると、都市農地の問題として、経営規模の小ささ、
経済的収益性の確保の困難さ、農業に対する都市住民の理解不足が
挙げられています。また、農家からは、後継者不足や厳しい市場競争といった
課題が伝えられていたとの事でした。
生産緑地の現状
生産緑地問題の実際を調べるために、国土交通省のサイトを見ていて
驚いたことがあります。
それは、9割の農地が特定生産緑地として10年の指定延長を受けたという記事でした。
エリアごとのデータを見ていないので結論付ける事は難しいですが
それでも、予想されていた大規模な指定解除は起きていないようです。
農業への新しい視点
この現象をどう解釈するかは難しいのですが、私が最近感じている事として、
農業や農地に対する市民の認識が徐々に変わってきているのではないか
という点があります。
例えば、家庭菜園の流行や週末農業ボランティア、農業の体験学習などが
ちょくちょくテレビなどのメディアで取り上げられていたり、
都市住民の間で農業に対する理解が深まっているのかもしれません。
娘が小さい頃に、三浦半島のテーマパークに行った時に農業の実体験などもあり
農業に対する良いイメージが広がっているようにも感じられます。
今後の展望
私は、不動産市場の混乱が発生する可能性から、初めて2022年問題に注目しました。
しかし、想定した市場の混乱は見られず、これが大きな学びとなりました。
過去5年間で都市農地の課題や市民の農業に対する認識、そして都市と農業の
複雑な関係性についての理解が変化したことを感じています。
全ての問題が解決されるわけではないと考えていますが、
特定生産緑地制度が10年間延長された2032年に何が起こるのか、
今後の動向に興味を持っています。
当初は土地家屋調査士としての経営面や不動産市場の影響から
生産緑地問題に目を向けていました。
今では生産緑地解除に伴う市場混乱問題は二次的なもので、
一市民としてして美味しい国産野菜を楽しみたい、
農業が身近に感じられる社会であって欲しいと思うようになり
都市農地の未来の本質的な問題について注視していく必要性を感じています。