「平成24(2012)年度・灘中二日目・大問三・詩」の解説

篠田啓彦

篠田啓彦

テーマ:詩の読解

みなさん、こんにちは。

国語専門オンライン学習塾 啓理学舎の篠田です。

今回は、「平成24(2012)年度・灘中二日目・大問三・詩」の解説をさせていただきます。

題名は「責任」(江口 節)です。


地震

【詩の構成】


まずはこの詩の構成を考えていきたいと思います。

1〜5連は同じような構成になっています。

各連の最初は、「 」に囲まれています。

この部分に子どもが発した言葉が書かれています。

設問を解くことには関係ありませんが、
「 」の部分を1〜5連までつなげると、地震が起きてから思ったこと、感じたことが順番に書かれていることがわかります。

「 」の後に子どもの行動が書かれています。

そして、最後に、地震からどれだけ経たかが書かれています。
つまり、月日の経過が書かれています。



【問1】


(解説)

この設問は、線部1の言葉を発した時の子どもの様子を問いています。
そのため、答え方は「〜のようす」となります。

線部1の直前に大きな地震が起きています。

そのような地震が起きたのですから、冷静に考えれば、学校はあるはずがありません。

しかし、子どもは、いつも通りの生活を考えています。

つまり、大きな地震が起きたことが本当の意味で理解していないと考えられます。

解答例は以下となります。


(解答例)25字以内

大きな地震が起きたことを理解できていない様子。(23字)



【問2】


(解説)

この設問も問1同様、線部2の子どもの様子を問いています。
そのため、答え方は「〜のようす」となります。

また、線部2は比喩的表現になっています。
この表現を抽象的な表現にする必要があります。

つまり、大きな地震の揺れによって、子どもの体が上下に激しく揺れたことがわかります。

このことを20字以内で表現すればOKです。


(解答例)20字以内

自分の体が上下に激しくゆれているようす。(20字)



【問3】


(解説)

この設問は、3連の□に入れる言葉を考える問題です。

まずは4連を確認します。

この連の季節は「秋」です。

3連と5連から、4連は5ヶ月〜8ヶ月の間になります。

この時期に「やっと自分から話しだしたのは」(4連4行目)と書かれています。

つまり、「5ヶ月目」(3連)までは、地震について自分から話すことができなかったことがわかります。

また、「8ヶ月もたって」(5連)に「初めてこわいと言えたのだ」(2行目)と書かれているため、

4連の「秋」(5行目)に、地震について心を整理している途中の時期だということが言えると思います。

上記のことを理解して、消去法で選択肢を選びます。

「イ」:地震に対する恐怖が消えていないため、「×」。

「ウ・オ」:「五ヶ月目」(3連)はまだ自分から地震について話すことができない時期であるから、「きっぱり」「すらすら」と言う表現は当てはまらないため、「×」。

「ア」:3連1〜2行目に「おとうさんが抱いてくれたから、こわくなかった」という表現があるため、「×」。


(模解)

「エ ぽつんと」



【問4】


(解説)

この設問は選択肢の中から、「子どもの心の状態を表したもの」を選ぶ問題です。

5連を確認していくと、
「八ヶ月もたって」(3行目)、「初めてこわいと言えたのだ」(2行目)と表現されています。

つまり、「八ヶ月」目に心の整理がつき、地震が起きた時の感情を正直に表すことができるようになったということです。

このあたりを頭に入れて、選択肢を見ていきます。

「オ」:「大人はえらいと感心」という表現はないため、「×」。

「ウ」:「いみきらう」の意味は、「物事をひどく嫌い、不快に感じて避けたい、近寄りたくないと思うこと」です。
この詩において、「物事」は地震のことになります。線部3では、「いみきらう」のではなく、自分の心に正直になったのだから、「×」。

「エ」:「自分にいや気がさしている」と書かれているが、線部3にはそのようなことは感じられないため、「×」。

「ア」「イ」:「ア」と「イ」で迷うかもしれませんが、「イ」に「すなおに言えるようになった」と書かれているため、正解は「イ」となります。


(模解)

「イ」



【問5】


(解説)

この設問は、線部4の比喩的表現を抽象的に言いかえた選択肢を選びなさい、という問題です。

6連の内容を確認していきます。

3行目の「小さなもの」とは、「こども」のことを表しています。
4行目の「大きな傷口」は、実際の傷ではなく、心の傷を比喩的に表現しています。

そして、「内側に向けている」(4行目)とは、両親に話すことをせず、自分で解決しようとしていると考えられます。

6行目の「それが自分の責任だ」ということも4行目と同じことを言っていると考えれらます。

このあたりを頭に入れ、選択肢を見ていきます(消去法)。

「ア」〜「ウ」では、「地震で負ったけが」という表現があります。これは実際に負ったけがのことを指すため、「×」。

「エ」:「大人と同じやり方」書かれていますが、そのような表現は詩にはされていないため、「×」。


(模解)

「オ」



【問6】


(解説)

この設問の解説は、冒頭に記載していますので、そちらを確認してください。


(解答例)A、Bともに10字以内

A:子どもが言った言葉(9字)

B:月日の経過を表す言葉(10字)



どうでしたか?

この詩の独特な規則があり、戸惑うことがあったかもしれません。

しかし、これが詩のおもしろさでもあります。

難しかった場合は、再度解き直しをして、しっかり理解しておきましょう!

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篠田啓彦
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篠田啓彦(塾講師)

国語専門オンライン学習塾 啓理学舎

保護者の方にお子さまとの接し方等をアドバイスさせていただくとともに、国語が苦手なお子さまでも特別な学習方法で真の「国語力」が身につき、さらに各教科の成績向上、中学・高校合格へ導いている。

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