補聴器販売店の選択肢、補聴器メーカーの選択肢
当店に相談に来られるお客様の、およそ半数は他店で購入された補聴器の相談です。
買ったはいいが、ほとんど使っていない。
雑音ばかりで聞き取れない
つけても、つけなくても大して変わらない
閉塞感が酷くて、長時間つけていられない
このような訴えを大変よく頂戴しております。
そもそも購入時に、機種の選択で間違っているなと感じるケースも多く見られます。
最近では耳穴式補聴器を某大手メガネ店で購入された方のお悩み相談に対応しました。
主な訴えとしては、
声がこもる。
特に自声の響きが強く、閉塞感で長時間つけていられない。
長時間つけていると、外した方がかえってよく聞こえる気がする。
このような訴えでした。
両耳30万前後の補聴器です。決して安い買い物ではありませんね。
購入後、まだ1年程度の方でした。
購入機種はオーダーメイド耳穴型のカナルサイズ、もしくはITCなどと呼ばれるタイプ。
オーダーメイド耳穴型の補聴器では、特に補聴器が初めてという方の場合、閉塞感などの訴えが出やすいです。
しかし、耳穴型ではメガネやマスクの邪魔にならない、出し入れが簡単、などと言ったメリットもあるので
最初から耳穴型を希望される方もいるでしょう。
耳穴型は耳を密閉に近い状態にしますので、どうしても閉塞感が気になりがちです。
それでも耳穴型を選択する場合、CICやIICと呼ばれる極小タイプの耳穴型を選択すると、
かなり閉塞感や自声の響きは軽くできます。
今回のお客様は聴力レベル的にも、操作が可能かどうかも含めて充分に小さいタイプの耳穴型を選択できる方でした。
なぜ敢えて大きな機種になったのか?
閉塞感の少ない小型耳かけ式を選択しなかったのは何故なのか?
販売する際の説明が不十分だったとしか思えません。
それぞれの長所、短所をよく理解したうえで選択して頂いていれば、このような不満は出なかったはず。
しかし、このお客様の不幸は最初の機種選択だけでは終わりませんでした・・・
オーダーメイド補聴器は無償で再作成できる?
オーダーメイド補聴器は、個人の耳型に合わせて作るために購入前のお試しが出来ません。
作ってみないと分からないのです。
そのため、多くのメーカーでは無償で型の作り直しが出来る期間を設けています。
だいたい作成から3ヶ月くらいの間は、無償で型の作り直しが出来るのです。
当店では型の作り直しだけでなく、この期間は無償での機種交換なども承っています。
今回ご相談頂いた方は、様々な訴えを購入店に相談されたようですが、
この再作成の権利については知らなかった様子。
相談するたびに、「音の調整」だけで対応されていたようです。
しかし、耳を塞いでいる訳ですから例え音量をゼロにしたところで閉塞感は消えないですね。
この方へ本来とるべき対応は、
1.そもそも機種選択の時点で、本当に耳穴式で良かったのかしっかり納得のいく説明をすべきだった。
2.無償再作期間に、機種変更の機会を与えてあげるべきだった。
3.機種変更が無理ならば、せめて少しでも閉塞感を減らす加工を無償再作期間にしてあげるべきだった。
以上の3点に尽きるのではないでしょうか。
しかし、これらの対応をすることなく無駄に無償期間が過ぎてしまったために、
当店に相談に来られた時には出来ることが限られてしまいました。
もう機種変更も無理なので、できることは上記の3. 出来るだけ閉塞感を減らす加工を施す。だけになってしまいました。
このような大きめの通気孔を設けることで、ある程度閉塞感を軽減できます。
詳しくはコチラの記事耳穴型補聴器の閉塞感解消策
購入後すぐであれば無償で出来た加工ですが、時間が経ってしまったので片耳¥25,000かかってしまいました。
しかも、軽減できるレベルは限定的。
それでも、まだ出来ることがあっただけでも良かったと仰って頂きました。
補聴器は安い買い物ではありませんので、是非慎重に。