他店から相談に来るお客様が後を絶ちません・・
今回の聴力については、
左は中等度難聴 平均60dBHL程度
右は高度難聴 平均82dBHL程度
左右差は約20dBあります。
このように左右差の大きい聴力の場合は、補聴器の両耳装用については注意を要します。
本当に両耳装用が必要なのか、両耳に装用することでどのようなメリットがあるのか、購入前によく聞いておくべき。
両耳に入れることで方向感が分かりやすくなるとか、騒音下での聞き取りが向上するとか、そのような通り一辺倒な回答だけだったら疑ってかかるべき。
左右の聴力レベルに大きな差がなければ、そのようなメリットを得られるかも知れません。
その場合も、聴力レベルだけでなく「語音明瞭度」も大きな差がないことが望ましい。
今回例示した聴力のケースでは、耳穴型補聴器を両耳で購入されていました。
予想に違わず、より聴力が低下している右耳はほとんど使っていなかったとの事。
右側はつけても効果を感じられない、音は聞こえるけれど言葉は聞き取れない。
そのような理由から、せっかく買ったものの全くと言って良いほど使っていなかったようでした。
聴力だけじゃない、語音明瞭度も大切
語音明瞭度が悪かったら補聴器を使っても意味がない・・・と言いたいわけではありません。
あくまで左右のレベルの違い。
両耳とも同レベルで低かったら・・・それはそれで両耳装用するメリットはあるかも知れません。
ご本人の要望も考慮されるべきでしょう。
上の例では、左耳は最高明瞭度は80%ありました。
補聴器装用の効果も出やすいと予想できます。
しかし、右耳は最高で10%でした。
こうなると右から音が聞こえても、言葉はほとんど左耳で聞き取っている事になります。
場合によっては右から様々な音が聞こえてくることで、かえって左耳の聞こえを邪魔する可能性すらあります。
結論・・・この方の聴力で、適切な説明による同意もなく両耳に補聴器を販売した店は、
まぎれもなく「インチキ補聴器店」です。
何でもいいから、とにかくたくさん売れればいい。
日々勉強する気力もない。
とにかく早くノルマを達成したい ・・・そういう店です。
お若い方で、学業や仕事で不自由を感じている。
やはり両側からの聞き取りを何とかしたい。
そのような主訴であれば、バイクロスを提案することが適切ではないかと思います。
左耳の中等度難聴を補聴しつつ、右側からの話声も良聴耳である左へ送信して聞き取る。
この方法で、かなり主訴に応えられるのではないでしょうか。
主に家族との会話だけなどであれば、左片耳装用でも良いでしょう。