片耳難聴・・と言うよりは左右差の大きい難聴向け耳穴型補聴器
片方だけ難聴でお困りの方は意外と多くいらっしゃいます。
当店では、ほぼ毎月そのような方が1~2名相談にいらっしゃいますので、潜在的にはもっともっと多くいらっしゃる事と思います。
片側だけ難聴の方には、様々な原因があります。
先天性の方もいれば、後天性の方も当然いらっしゃいますが、私の感覚的には後者(後天的に)中途失聴された方が多いように感じています。
突発性難聴で回復しなかった、事故で片側失聴してしまった・・・・などのケースがあります。
上に示した聴力図ですと、赤色で示した右側の聴力が左と比較すると大幅に低下していることが見て取れます。
青で示した、左も多少の低下はありますが、周囲がよほど騒がしくなければ左で何とか会話は可能なレベルです。
この場合、補聴器で補うことは可能なのか?
片方か、両方か?
片方なら、どちらに使用したら良いのか?
これは一概には言えません。
原則的には、聴力レベルが「より60dBに近い側」に装用すべきという考え方があります。
本来は両耳に補聴器を装用して、バランスのよい両耳聴を確保できれば理想なのですが、左右差のある聴力の場合はそれが難しい場合が多いです。
なので、60dBを基準として、より顕著に低下している側の耳は、ちょっと言い方は良くないですが「捨てる」。
良い側を活かすという事になります。
しかし、今回示した例ですと、
片方がかなり正常値に近い聴力なので、良い側に補聴器を装用するのではなく、「60dBに近い側」つまりは悪い方へ装用します。
重要なのは言葉の聞き分け力
ただし、大事なのは言葉の聞き分け力。
当店では、語音明瞭度測定と呼ばれる測定を必ず実施します。
あ・か・さ・・・などの語音をどれだけ正確に聞き分けることができるかのテストで、必ず正確に校正されたオージオメーターで、聴覚医学会が監修した音源を使用して測定するものです。
この測定の結果、悪い側の言葉の聞き分け力が極端に悪かったらどうか?
そうなると、補聴器を入れて音声を増幅しても、音は聞こえても「言葉としてハッキリ聞き取れない」という結果になってしまいます。
酷い場合は、補聴器を入れることでかえって雑音ばかり気になり、せっかく良く聞こえている側での「聞こえ」を邪魔してしまうケースもあり得る。
そんなときは、クロス補聴器が役に立つ
そんなときは、クロス補聴器と呼ばれるものが役に立ちます。
形状は、通常の補聴器と変わりません。
これを、聞こえの悪い側へ装用します。
良い方の耳には、通常の補聴器を装用します。
ただし、良く聞こえる側は、聴力の低下がありませんので音声の増幅はほとんどしません。
どういうことか、分かりやすい図を示します。
悪い方に装用した「クロス補聴器」は、音を増幅するのではなく、【拾うのみ】。
拾った音声を、良く聞こえる側の補聴器に【送信】します。
こうすることで、これまで聞き逃していた側からの聞こえが大幅に改善します。
特にお仕事をされている若い世代の方など、会議の場面でこれまで座る位置に気配りしなければならなかったようなケースでは、大変楽になるはずです。
一度ご相談ください。