自宅不動産を活用した老後資金計画

住宅価格が上昇を続ける中、マイホーム取得時の住宅ローンの返済期間を従来の最大35年から40年、さらに50年と延長するケースが注目されています。
返済期間を長く取ることで「月々の返済額を抑えて家計に余裕を持たせる」選択肢として魅力的に映りますが、一方で「将来の資産形成・ライフプラン・金利変動リスク」に与える影響もあります。
子育て世代としては、住宅購入という大きなライフイベントと、教育費・老後資金・保険・相続・税制といった資産形成の全体像を見据えて判断することが重要です。
本コラムでは、その視点から「返済期間延長」のメリット・デメリットを整理し、子育て世代が押さえておきたいポイントをお伝えします。
住宅ローンの返済期間が「35年」から「40年・50年」へ延び
住宅価格の上昇と所得の伸び悩みが背景
近年、住宅価格は全国的に上昇しています。国土交通省の調査によると、首都圏新築分譲マンションの平均価格は2025年上半期に1戸あたり8,958万円を突破。
一方で平均年収の伸びは鈍く、所得とのバランスが取りづらい状況です。
そのため、返済期間を35年から40年、50年に延ばして「月々の返済額を抑える」選択をする人が増えています。
出典:不動産経済研究所首都圏 新築分譲マンション市場動向 2025 年度上半期
金融機関による長期ローン商品の拡充
金融機関もこのニーズに応える形で、40年ローン・50年ローンの商品を相次いで導入しています。
たとえばPayPay銀行やauじぶん銀行等では、50年までの返済期間設定が可能になっています。
返済期間を長くすることで「月々の返済負担を減らし、購入可能額を引き上げる」設計がしやすくなっています。
子育て世代が「月々の返済額」を重視する傾向
教育費・生活費・住宅費のトリプル負担を抱える子育て世代にとって、月々の支出を安定させることは家計の鍵です。
短期的な負担軽減を優先し、将来の収入増や退職金で対応しようとする傾向も見られます。
返済期間を延ばすメリット 家計にゆとりを持たせる賢い方法
月々の返済負担が軽くなり、教育費や生活費に余裕
同じ借入額・金利でも、返済期間を延ばせば毎月の返済額は減ります。
例えば4,000万円を金利1.0%で借りた場合、35年返済なら月々約11,3万円、40年返済なら約10,1万円、50年なら約8,5万円に下がります(※概算)。
この約1~2万円の差が教育費や生活費に回せるのは大きなメリットです。
返済負担率を下げて住宅購入の選択肢を広げる
返済期間が長くなることで、金融機関が算定する「返済負担率」が下がり、借入可能額が増える場合もあります。
結果として、希望の立地や間取りを諦めずにマイホームを実現できるケースもあります。
資産形成(NISA・iDeCoなど)との両立がしやすくなる
家計に余力があれば、住宅ローンと並行して長期の積立投資を行うことも可能です。
教育資金や老後資金をNISAやiDeCoなどで早めに準備できる点は、資産形成上の大きなメリットです。
返済期間を延ばすデメリット 将来に潜むリスクとは
支払総額(利息負担)が大きくなる
返済期間を延ばすと、支払総額が増加します。
たとえば金利1.0%で4,000万円を借りた場合、35年と50年では約342万円以上の利息差が生じます。
金利が上昇した場合は、利息差はもっと拡大する事に注意が必要です。
完済年齢が遅くなり、老後資金に影響
30代で50年ローンを組むと、完済は80歳前後になります。
年金生活期と返済期間が重なり、老後の家計に負担を残すリスクもあります。ローンが老後まで続く場合は返済計画を事前にシミュレーションしましょう。
住宅は購入したら自分の物になるのでは無く、完済したら自分の物になる
今現在と未来の状況(教育タイミングや老後)は大きく異なります。
金利上昇や収入減など、長期化リスクが増す
返済期間が長いほど、金利変動や収入の変化にさらされる期間も長くなります。
特に変動金利を選んでいる場合、今後の金利上昇で返済額が増える可能性がある点にも注意が必要です。
続きを見てみる → 実際のケースから学ぶ 40年・50年ローンのリアル



