医療費控除とは?対象となる医療費や申告方法、注意点などを解説!
退職金の受取額が数百万円や数千万円になる人は珍しくありません。そこで退職金を受け取ったときに所得税の負担が重くならないよう、受取額のうち課税の対象となる金額は、特別な方法で計算されます。
ただし、2カ所以上の勤務先から退職金を受け取った場合や、確定拠出年金の老齢給付金と退職金を受け取る場合、税負担が重くなることがあるのです。
そこで今回は、退職金を2カ所から受け取ったときに税負担が重くなるケースや、税負担を抑えて上手に受け取る方法を解説します。
退職所得と退職所得控除の計算方法
退職金は、受取額から退職所得控除を差し引いた金額の1/2が退職所得となり、所得税の課税対象となります。退職所得と退職所得控除の計算方法は、以下のとおりです。
◯退職所得
- (退職金額-退職所得控除額)×1/2
◯退職所得控除額
- 勤続年数20年以下の場合:40万円×勤続年数(最低800万円)
- 勤続年数20年以上の場合:800万円+70万円×(勤続年数-20年)
例えば退職金の額が2,000万円、勤続年数が25年であるとしましょう。
退職所得控除の額は、800万円+70万円×(25年-20年)=1,150万円、退職所得の額は(2,000万円-1,150万円)×1/2=425万円となります。
このように退職金は、退職所得控除を差し引いた金額の半分しか課税の対象になりません。
なお確定拠出年金(企業型・iDeCo)の老齢給付金や、小規模企業共済の共済金を一括で受け取った場合も、同様の方法で退職所得を計算します。
退職所得控除が調整されるケース
以下のようなケースでは、受け取るタイミングに応じて退職所得控除が調整される可能性があります。
- 退職金を受け取る前年4年以内に別の退職金を受け取っていた場合
- iDeCoを受け取ってから19年以内に退職金に相当する金銭を受け取っていた場合
それぞれについて、詳しくみていきましょう。
退職金を受け取る前年4年以内に別の退職金を受け取っていた場合
退職金を受け取ってから5年以内に別の退職金を受け取ると、退職所得控除を計算するときの勤続年数(確定拠出年金の加入期間)について、重複期間が除外されます。
以下のケースで試算をしてみましょう。
◯A社
- 勤続年数:15年
- 退職金額:2,000万円
◯B社
- 勤続年数:10年
- 退職金額:1,500万円
A社の退職金を受け取った1年後に、B社の退職金を受け取るとします。
A社の退職所得控除は40万円×15年=600万円、退職所得は(2,000万円-600万円)×1/2=700万円です。
B社の退職所得控除を計算するときは、勤続年数10年のうちA社と被っている9年は除外されます。よってB社の退職所得控除は、40万円×1年=40万円、退職所得は(1,500万円-40万円)×1/2=730万円です。
一方でA社の退職金を受け取ってから5年が経過したあとに、B社の退職金を受け取った場合、勤続年数の重複期間を考慮せずに退職所得控除が計算されます。よって退職所得控除は40万円×10年=400万円、退職所得は(1,500万円-400万円)×1/2=550万円です。
退職金額と勤続年数が同じであっても、退職金を受け取るタイミングによって退職所得や税負担が違ってきます。2か所から退職金を受け取れる場合は、期間を5年以上開けると良いでしょう。
続きを見てみる → 退職金を2カ所以上から受け取るときの注意点とは?