M&A後に崩れる会社、伸びる会社──PMIの現場から見えた“人と数字”
連載コラム「継ぐ人のための経営ノート」。事業承継、後継者育成、小さな会社の現場をテーマにしたコラムです。
社長になったけど、何すればいい?──そんなあなたに伝えたいこと(第一回)
事業承継やM&Aによって突然「社長」になったものの、何から始めればいいのか分からず戸惑う人が増えています。このコラムでは、経営は机上の理論だけではなく、現場で育つものであること。税務や法務などの専門知識も重要だが、実際の経営判断や社員との関係構築は、汗をかきながら現場で培うことの大切さを紹介しています。
事業承継は、親より夫婦が難しい─信頼はどう育つのか(第二回)
事業承継において、親との関係よりも「夫婦間の信頼構築」が難しいと感じる人は少なくありません。このコラムでは、著者自身の経験をもとに、経営者としての孤独や葛藤、そして夫婦間のすれ違いを率直に語っています。経営の現場では、数字や判断の重みが日々の生活に影響を及ぼします。経営者としての成長と共に、夫婦間の信頼も「育てるもの」であることをご紹介しています。
後継者は数字で語る──事業を深く知る力(第三回)
事業を引き継いだばかりの頃、誰しも数字に苦手意識を持つものです。著者自身も、帳簿を見ても何を読み取ればいいのか分からず、売上があるのに資金が足りないという状況に直面。その経験から、「数字は経営の言語」であることに気づきます。このコラムでは、数字を通じて事業の本質を理解する力が、後継者から経営者へと成長する鍵になることをご紹介しています。
決めるって、怖い──納得解を育てる判断力(第四回)
事業承継後、後継者が最初に直面するのは「決断することの怖さ」。価格改定、人材採用、設備投資、取引先との契約見直し──どれも正解がなく、前任者のやり方が根深く残る中で、自分の判断に自信が持てないケースが多く見られます。判断力は「現場 × 数字 × 対話」で育ち、現場の肌感覚を数字で裏付け、関係者との対話を通じて背景を理解することで、初めて“納得解”にたどり着けることをご紹介しています。
[[孤独と責任──経営者が抱える“見えない重さ” (第五回)https://mbp-japan.com/kanagawa/cw-bsc/column/5203329/]]
事業承継やM&Aによって経営者になった後継者が、次に直面するのは「孤独」と「責任」の重さ。周囲からは「社長になったのだから」「任されたのだから」と期待される一方で、内心では「本当に自分でいいのか」「誰にも相談できない」と感じることも少なくありません。この“見えない重さ”は、家族経営のような小規模事業者ほど顕著です。何を誰にどこまで伝えるべきかという悩みに対する向き合い方をご紹介しています
育てるという仕事──現場とつながる経営(第六回)
事業承継後、後継者が担うべき次の責任は「人を育てること」。しかし、未経験の経営者にとっては「自分も育てられている最中なのに、社員を育てるなんて…」という戸惑いも少なくありません。特に家族経営などの小規模事業者では、現場との信頼関係が経営の土台。社員が「この社長は現場を理解しようとしている」と感じることで信頼が生まれることをご紹介しています。
跡継ぎの“らしさ”をつくる──自分らしい経営のかたち(第七回)
事業承継やM&Aによって経営を引き継いだ後継者が、次に向き合うのは「自分らしい経営とは何か」という問い。創業者や前経営者のやり方をそのままなぞるだけでは、現場との信頼は築けません。一方で、急激な変化も混乱を招くため、少しずつ“らしさ”を育てていく姿勢が求められます。合理性や効率だけでは語れない“生業としての誇り”が経営の本質であること。数字では測れない価値が経営の芯にあることをご紹介しています。
受け継ぐだけじゃない、広げていくという選択(最終回)
事業承継とは、単に「守る」ことではなく、「広げる」ことでもある──この最終回では、著者自身の経験を通じて、事業を未来へとジャンプさせる選択の可能性が語られています。かつて酒類卸業を引き継いだ著者は、資金繰りの危機や信頼関係の揺らぎに直面しながらも、「酒にとらわれない新しい領域への挑戦」を決断。事業の枠を超えた取り組みを進めてきました。この経験から得た学びは、「事業承継は過去の延長線ではなく、未来へのジャンプ台」。地域資源を編集し、物語として届けることで、既存の流通にとどまらない新しい市場を開拓できると説かれています。
M&A、事業承継に対する関心がさらに高まり、未経験者でも簡単に会社を買い、社長になれる時代になりました。一方で、家族経営のような小さな会社の事業を承継できる方、経営人材が不足しており、さらに懸念することは、そうした、小さな会社の経営者を育てられる機関、人材も不足していることです。社長には誰でもなれますが、経営者は育てなければなりません。このコラムを通じて、継ぐ人、継がせる人、支える人、全ての事業承継、後継者育成に関わる方が、小さな会社の「経営者」になるための気づきに繋がれば幸いです。



