グループホームの運営は簡単? 運営者、生活支援者の悩みとは!
(概要)
「障害のある人たちが、慣れ親しんだ地域の中で普通の暮らしをできるようにしたい」
そんな思いから始まったのが障害者グループホームです。
この思いに共感して、障害者グループホームを開設、運営する人も増えています。今回は、障害者グループホームを開設する際に必要な基本的手順と、その費用についてお話ししていきます。
(本文)
障害者グループホーム開設までの基本的な流れ
障害者福祉サービスを行うには、基本的な手続きが必要となります。
【1:会社、法人を作る】
障害福祉サービスは個人で行うことはできません。したがって、障害者グループホームを開設するには会社、法人を作る必要があります。
まずは会社を立ち上げる、もしくは法人格を設立するための大まかな手続き内容として、「株式会社」と「一般社団法人」を例にしてご説明します。
<株式会社の場合>
□会社の名称(商号)
名称を決める際には、必ずどこかに「株式会社」の記載が必要です。
□会社の所在地
会社の所在地は、障害者グループホームの住所と同じ必要はありません。
□事業の目的
設立した会社での事業目的を決めます。共同生活支援の指定を受けるには、明確な事業目的が必要です。
□資本金
株式会社の場合、現在では資本金1円から設立することができますが、運転資金として3カ月~6カ月の資本金を用意するのが一般的です。
□発起人と役員
株式会社は、会社を設立する人と役員の兼任が可能なので、ひとりでも設立は可能です。
□決算の時期
決算時期は自由に決められますが、基本的には繁忙期は避けた方が無難です。
<一般社団法人>
□組織の基本的事項
一般社団法人は2人以上の社員で作る、営利追求が目的ではない法人です。社員同士でどのような組織でどういった活動をするかを決めます。
□定款
定款の内容(名称・目的・所在地・設立時社員の氏名や住所・社員の資格得喪に関する事項・広告方法・事業年度)を作成して、公証人役場などで認証を受けます。
□法令等順守の調査
一般社団法人の設立が、法令や定款を順守して行われたかの調査を受けます。
□登記申請
定款の他に、
・設立登記申請書
・設立時理事、設立時監事および代表理事の就任承諾書
・設立時理事全員の印鑑証明書
・主たる事務所所在地の決定に関する決議書
・登記事項を記載する用紙
・印鑑届出書
以上の主な添付書類をそろえて登記申請をします。
【2:障害者グループホーム(共同生活支援)の指定を受ける】
会社、法人を設立したら、障害者グループホームの指定を受けるための申請を行います。
<指定を受けるための主な条件>
自治体から指定を受けるには、さまざまな条件があります。
□運営基準
グループホームを各自治体の基準条例を守って運営するように、「運営規程」を作成して決める基準。
□設備基準
グループホーム利用者が安全に暮らせるように定められている厳格な基準。
□人員基準
グループホームを運営するにあたり必要な職員配置の基準。
<指定申請の書類をそろえる>
指定を受ける基準が整ったら、指定申請書の種類をそろえて指定申請を行います。
このとき、事前に管轄の自治体に相談に行くことをおすすめします。申請時に不備があると受理してもらえない可能性も出てきます。二度手間にならないためにも、事前の相談は必須です。
また、自治体によっては本申請の前に事前協議が必要な場合もあるので、管轄自治体に確認しておきましょう。
□指定申請に必要な主な提出書の種類
・指定申請書
・付表
・会社、法人の定款
・会社、法人の登記簿謄本
・勤務形態一覧表
・管理者の経歴書
・サービス管理責任者の経歴書
・サービス管理責任者の資格証明書
・サービス管理責任者の実務経験証明書
・運営規定
・設備の平面図
・設備の案内図
・事業所の写真
・苦情処理に関する措置の概要
・事業計画書
・収支予算書
・賠償責任保険に関する書類
・事業所が賃貸の場合には賃貸契約書
・欠格事由に該当していない旨の誓約書
・協力医療機関の名称と内容の契約書類
障害者グループホーム開設時の費用
障害者グループホーム設立の指定申請時には、登録免許税や国に納める手数料などがかかります。他にもグループホームとなる物件の取得、改修するための初期費用も必要です。
各都道府県では、障害者グループホーム開設への支援費補助金などもあります。補助金の詳細については都道府県により異なるので、該当する地域の役所などで確認が必要です。
□障害者グループホーム開設時の費用内訳
・会社、法人設立費
・指定申請費
・物件の所得、改修費
・事務用品などの購入費
・人件費
開設時の費用はそれぞれの状況によって異なりますが、賃貸物件を改修した小規模な事業所を開設する場合、費用相場としては1000万円程度と言われています。新たに物件を建設するとなると、億単位の資金がかかってくることもあります。
開設時の自分の状況や各都道府県による支援費補助金などをしっかりチェックし、試算した上で動くようにしましょう。