障害者グループホーム(共同生活援助)とは?

猪野由紀夫

猪野由紀夫

テーマ:障害者グループホーム

(概要)
障害を持つ方を支援するサービスは多様です。
その中のひとつでもある障害者グループホーム(共同生活援助)では、障害者が自立した地域生活を送れるように、本人の「できること」を尊重しながら、状況や環境に合わせたさまざまな支援を行っています。

その位置づけやサービス内容はどのようなものなのかを説明していきましょう。

(本文)
障害者グループホーム(共同生活援助)とは?
障害者グループホームは共同生活援助とも言われるサービスで、「障害者総合支援法」の中で規定されている障害福祉サービスのひとつです。

基本的なサービスは、「グループホームと呼ばれる共同生活の場所である地域のアパートやマンション、一戸建てなどで、主に夜間において、障害者が相談、入浴や排泄、食事の介護など日用生活上の援助を受けられる」といった内容です。

もっと簡単に言えば、「障害者が共同で暮らす場所に入居して、日常生活を営む上で必要な支援を受けられる」ということになります。

障害者を取り巻く状況は、家族とは離れて暮らした方がいいケースや日中活動をする場所が自宅からは遠いケース、または家族がおらず支援施設卒業後に住居がないケースなどがあります。

障害者グループホームは、そういった生活をする場所のない障害者に対して、住み慣れた地域で暮らし続けられるようにするための地域密着型サービスで、「少人数で共同生活をするシェアハウスのようなもの」と考えていいでしょう。


障害者グループホームの特徴は「サテライト型住居」であること
「サテライト型住居」とは、入居者それぞれに個室があるユニット型のことです。

地域生活への移行を目指していたり、グループホームを利用している障害者の中には共同生活ではなく単身での生活を望む人もいます。

また、グループホームの開設を考えていても、近隣に入居人数などの条件に合った物件がなかったり、大規模修繕が必要になるケースが少なくありません。

これらを考慮した結果、入居者間の交流が可能であることを前提にして、ひとり暮らしに近い「サテライト型住居」という仕組みができました。

このことによって、「入居者のプライバシーがより守られるようになった」とも言えるでしょう。

障害者グループホーム利用対象者の条件とサービスの種類
2014年(平成26年)4月1日より、それまでケアホーム(共同生活介護)とグループホーム(共同生活支援)に分けられていたサービスが、グループホームとして一元化されました。

それまでのグループホームでは、介護が必要な人を受け入れることができず、入居後に介護が必要になった場合には本人の意思に関わらず、ケアホームや入所施設に移らざるを得ない状況にありました。

しかし、グループホームに一元化したことで、このマイナス要素を解消することができました。

障害者グループホームを利用する条件
障害者グループホームのサービスを受ける対象者には、基本的に以下の条件が定められています。

・身体障害者
・知的障害者
・精神障害者
・難病患者等

上記の人などを対象にして、生活介護や就労継続支援といった日中活動を利用している障害者であり、地域で自立した日常生活を営む上で、食事や入浴などの介護や相談など日常生活上の支援を必要とする人となります。

また、身体障害者の場合には、65歳未満の人、または65歳の誕生日の前日までに障害福祉サービスもしくはこれに準ずるものを利用したことがある人に限られます。

障害者グループホームにおける2種類のサービス
前述したように、ケアホームとグループホームが1本化されたことで、グループホームで提供されるサービスが「日常生活の援助などの基本的サービス」と「利用者個々のニーズに対応した介護サービス」の2つになりました。

この中で介護サービスとして、「介護サービス包括型指定共同生活援助」と「外部サービス利用型指定共同生活支援」があります。

【介護サービス包括型指定共同生活援助】
<サービス内容>
主として夜間において、共同生活を営むべき住居において当該事業所のスタッフによって、

・利用者への相談援助
・入浴や排泄、または食事などの介護
・健康管理、金銭の管理に係わる支援
・余暇活動の支援、緊急時における対応
・就労先、その他の関係機関との連絡調整
・その他の日常生活を営む上で必要な支援

を行う。

【外部サービス利用型指定共同生活支援】
<サービス内容>
主として夜間において、共同生活を営むべき住居において当該事業所のスタッフによって、

・利用者への相談援助
・健康管理、金銭の管理に係わる支援
・余暇活動の支援、緊急時における対応
・就労先、その他の関係機関との連絡調整
・その他の日常生活を営む上で必要な支援

を行う。
入浴や排泄、または食事などの介護では、住宅居宅介護サービスへの委託によって行われる。


2つの介護サービスの内容は、基本的には同じようなものですが、一部の介護内容については「グループホームの事業所が包括的に行うのか」「外部の介護サービスに委託するのか」という部分で異なってきます。

グループホーム事業者は、開設する場所や住居形態、その他の状況によって、このどちらかを選択することができます。

障害者たちだけではなく、現在、障害者支援をしている人、または支援を考えている人たちにとっても、より良い支援や援助ができるように考えられていると言っていいでしょう。

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猪野由紀夫
専門家

猪野由紀夫(税理士)

DCC株式会社

長年の税理士と人事の経験を基に、障害者福祉事業の起業から指定申請、採用教育まで一貫した経営コンサルティングを提供しています。融資や介護ロボットの導入に関する補助金等の申請代行も積極的に行っています。

猪野由紀夫プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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