介護ロボットで注目を集める「コミュニケーションロボット」 その効果とは
概要
訪問介護事業を開業するには法人格の取得、そして人員・設備・運営基準を満たすことが要件となります。また開業するための資金も必要で、100%政府出資の政府系金融公庫から融資を受けると民間の金融機関より低い金利で借り入れることもできます。
今回は、事業を成功させるために必要な準備について見ていきましょう。
本文
訪問介護とは
訪問介護は、訪問介護員(ホームヘルパー)などが利用者の自宅を直接訪問して、さまざまな介護や介助を行います。
具体的には、食事・排泄・入浴・着替えなど利用者の身体に直接触れる「身体介護」、調理、洗濯、掃除、買い物など利用者の生活を支援する「生活援助」を行い、要支援・要介護の高齢者が自立した在宅生活を送るためにサポートします。
訪問介護は、通所系のサービス(デイサービス、デイケア)に比べ設備投資や人件費が少なくてすみ、介護事業の中では比較的起業しやすい業種です。1事業所ごとの定員の限界がないため、多くの利用者を獲得できれば、デイサービスを上回る利益を出すことも可能です。
開業するために必要なこと
訪問介護事業を開業するためには、株式会社、有限会社、合同会社、NPOなど、法人格を取得する必要があります。そして、人員基準、設備基準、運営基準を満たさなければなりません。
人員基準としては、訪問介護員(ホームヘルパー)などの人数について、常勤換算方法で2.5人以上」であること。ヘルパーのまとめ役としてサービス提供責任者を配置すること。また、「原則として専ら当該事業所の管理業務に従事する管理者を1名配置すること」になっています。
設備基準としては、通常の事務を行う広さを持った事務スペース、利用申込の受付、相談などに対応するための相談スペースが求められます。いずれも一室ではなく、パーテーションなどによって区切ることで対応することもできます。
また、通常の業務に必要な固定電話、パソコンなどの通信機器も必要ですし、訪問に必要な車両とその駐車場についても検討しておく必要があります。
運営基準としては、勤務体制の確保はもちろん、提供するサービスについて利用者または家族にわかりやすく説明すること、提供したサービスの記録と保存、業務上知り得た利用者またはその家族の秘密を漏らさないことなど、さまざまな規定があります。
必要書類の提出
人員、設備、運営にかかる基準を満たすことができたなら、申請書を行政に提出します。
申請のための書類は
「指定居宅サービス事業所・指定介護予防サービス事業所指定申請書」をはじめ、
「申請者の登記簿謄本」
「従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表(就業規則の写し、組織体制図、資格証の写し、雇用契約書の写し又は誓約文)」
「事業所の平面図・外観及び内部の様子がわかる写真」
「運営規程(運営の方針、事業の実施地域、料金表など)」
上記のように多岐にわたります。事前に行政の担当窓口で確認しましょう。
東京都の場合、申請前に管理者(または法人代表者)の新規指定前研修の受講が必要です。
開業のための資金調達
一方、開業のための資金調達も考えなければなりません。
介護事業の場合、日本政策金融公庫や地域金融機関から融資を受けるケースが多いでしょう。日本政策金融公庫は100%政府出資の政府系金融公庫です。介護事業での実績がなくとも、無担保・無保証での借り入れが可能です。しかも民間の金融機関に比べ低金利です。
融資に際しては審査があり、ここで大切になるのが事業計画書です。具体的で説得力のある計画書を作成する必要があります。
また、介護事業向けの助成金や補助金についても検討しておきましょう。支給額に比べ申請手続きが面倒と、敬遠される方もいますが、まとまれば大きな額になります。助成金や補助金は返済の必要がなく、活用されることをおすすめします。
訪問介護事務所のサテライト(出張所)について
訪問介護には、利用者の自宅までの移動距離や時間の問題があります。利用者が点在し、移動に時間を取られると効率的にサービスを提供するのが難しくなります。そうした際、検討したいのが訪問介護事務所のサテライト(出張所)の設置です。
本体である訪問看護事務所と利用申込に係る調整、サービス提供状況の把握、職員に対する技術指導などが一体的に行われること、また、職員の勤務体制、勤務内容などが一元的に管理されることなどの要件を満たせば、設置することができます。
サテライト(出張所)の設置についても、人員配置、設備基準等が定められており、東京都であれば「出張所を設置する場合の留意点」として、「管理者又はサービス提供責任者は、出張所に配置される訪問介護員等と訪問介護計画の内容について情報を共有し、必要があれば見直しをするなど適切な対応をすること」などを挙げています。
サテライト(出張所)の設置については、効率的なサービスの提供、利用者増による収益の増大
など多くのメリットがあります。
その反面、設置費用や設置場所の問題、そして、管理が大変になるというデメリットも考えられます。サービスの提供、収益、管理さまざまな面から十分検討しましょう。