高齢期の掃除は「できている実感」が支えになる

弘瀨美加

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テーマ:シニア世代の心身の特性に配慮した整理収納



見えない汚れが「自信」を奪っていませんか― 高齢期の掃除は“できている実感”が大切 ―


今回ご相談を受けたのは、80代・独居の男性。戸建て住宅にお住まいで、膝や腰に痛みがあります。
ご本人は、「廊下はときどき掃除機をかけている」・「自分なりにきれいにしているつもり」そう思っておられました。
ところが、家族が訪ねてくるたびに「廊下にゴミやホコリが目立つね」と言われ、気持ちが沈んでしまうそうです。

掃除機をかけても、
・本当に汚れが取れているのか分からない
・目の衰えもあり、見えていない気がする
そんな不安が積み重なり、「掃除ができていない自分」を責めてしまっていました。

フロアカーペットは悪くはありません
ご自宅の廊下は、フロアカーペット敷き。
実はこのフロアカーペット、日本では昭和中期〜後期(1960〜80年代)に広く普及しました。
防音性・断熱性があり、洋風の暮らしの象徴でもあったため、今も高齢世代の住まいには多く残っています。
高齢者にとって、フロアカーペットには転倒時の衝撃を和らげる/足元が冷えにくいといったメリットがあります。

一方で、
・ホコリやゴミが溜まりやすい
・掃除の成果が分かりにくい
・毛足の長さによっては、つまずきやすい
という注意点もあります。
大切なのは「撤去する・しない」ではなく、素材選びと、無理のないメンテナンス方法です。

私からの提案:「見える化」する掃除
今回、私が提案したのはコロコロ(粘着クリーナー)での“見える化”。
※もちろん、軽くでも掃除機をかけた上で使います。

ポイントは、
・しゃがまず、立ったまま使える
・柄の長さが調整できる「伸縮ロングタイプ」
・廊下など広い場所向けの「幅広・強力粘着タイプ」

膝や腰に痛みがある方にとって、「しゃがむ」「中腰になる」動作は大きな負担です。
道具を変えるだけで、身体への負担は大きく減らせます。

実際に使ってみた感想
後日、感想を伺うと――
「掃除機では分からなかったゴミが、
シートにくっきり付いて“取れた”と分かる」
「達成感があって、廊下掃除が楽しくなった」
「広い幅のロングタイプだから、身体も楽」
掃除は「きれいにする作業」ですが、高齢期にはそれ以上に“できている”と実感できることが心の支えになります。

高齢期の掃除は「頑張りすぎない工夫」が鍵
高齢者の住環境サポートで大切なのは、気合や根性ではなく、道具と動線の工夫です。
・雑巾がけ → 柄の長いフローリングワイパー
・高い所の掃除 → 伸縮式のホコリ取りモップ
・掃除道具は、使う場所の近くに安全に置く
「サッと取れる」「すぐ使える」環境は、掃除を“億劫な作業”から“日常の動き”に変えてくれます。

掃除は「できている自分」を守る行為
見えにくくなったから、体が思うように動かなくなったから、掃除ができなくなったわけではありません。
やり方が、今の体に合っていないだけ。
住まいと道具を少し見直すことで、自信と安心感は、まだ取り戻せます。

シニア世代の心身の特性に配慮した整理収納・comfy living

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弘瀨美加
専門家

弘瀨美加(講師)

comfy living

在宅介護経験者だから伝えられる実践的な整理収納スキルに強み。高齢者の心身の特性に配慮した収納のテクニックで安全で安心な住環境の整え方を提案。介護する人される人、双方の気持ちの負担も軽くなるよう努める。

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