キッチンの調理台にモノが増えるワケ

先日開催したセミナーで、高齢の参加者様からこんなお話を伺いました。
「ゴミの分別の仕方が、もう分からないんです」
この一言は、今の高齢者の住まいで起きている問題を、とても象徴していると感じました。
かつてのゴミ出しは、燃える・燃えないといった比較的シンプルな分別で済んでいました。
しかし現在は、資源ごみ、プラスチック、危険物、小型家電など、自治体ごとに細かく分かれています。
この「分別の細分化」そのものが、高齢者の住まいがゴミ屋敷化してしまう理由の一つになっているのです。
「これは何ゴミだろう?」
「間違えたら迷惑をかけてしまうかもしれない」
そう考えて分からないまま後回しにしているうちに、家の中にゴミが溜まっていきます。
さらに、「分別が間違っていて、注意のシールを貼られて置いていかれた」という経験が、
強いトラウマになる方も少なくありません。
その結果、「また間違えたらどうしよう」という不安から、ゴ
ミ出しそのものを避けるようになってしまうのです。
■スマートフォンを使える方へ
スマートフォンをお使いの方には、行政と連携したゴミ分別アプリの活用がおすすめです。
たとえば、
・さんあ〜る
・ごみスケ
といったアプリは、収集日のお知らせや品目検索、リマインド機能などが利用できます。LINEと連携できる自治体もあります。
また、
・Trash Lens(トラッシュレンズ)
は、捨てたい物をカメラで撮影すると、AIが分別方法を教えてくれるアプリです。文字検索が苦手な方でも使いやすいのが特徴です。
これらのアプリを使うことで、「迷う」「忘れる」という負担が大きく減り、ゴミ出しへの不安も軽くなります。
※ゴミ分別アプリは自治体によって内容が異なります。
それぞれの自治体のルールに基づいて分別方法が定められているため、アプリも地域ごとの情報に対応して作られています。
お住まいの地域のゴミ分別アプリを探すには、お住まいの自治体の公式ウェブサイトを見ることです。
多くの自治体では、ゴミの分別方法や収集日に関する情報を提供しており、専用のアプリがある場合はその案内も掲載されています。 「〇〇市 ゴミ分別アプリ」というように お住まいの市町村名と「ゴミ分別アプリ」を組み合わせて検索エンジンで調べてみてください。
■スマートフォンが使えない方へ
一方で、スマートフォンを使わない・使えない方も多くいらっしゃいます。
その場合は、デジタルに頼らない方法を組み合わせることが大切です。
各自治体が配布している
・「家庭の資源とごみの分け方・出し方」パンフレット
・分別カレンダー
は、今でも有効な情報源です。冷蔵庫など目につく場所に貼っておくだけでも、迷いが減ります。
また、ごみ出しに不安や困難がある場合は、一人で抱え込まず、
・地域包括支援センター
・ケアマネジャー
・自治体のごみ出し支援制度(ふれあい収集など)
に相談することも重要です。自治体のごみ出し支援制度ふれあい収集などは、分別を代行する制度ではありませんが、生活全体の支援につながる場合があります。
ゴミが溜まってしまう背景には、「怠け」や「だらしなさ」ではなく、「分からない」「失敗したくない」という気持ちがあります。
高齢者の住環境を整えるためには、片づけ以前に、こうした不安を一つひとつ減らしていく視点が欠かせません。
シニア世代の心身の特性に配慮した整理収納・comfy living</span></div>
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