立ち位置を変えずに開閉できるドア
今回が3回目の訪問になるAさん。
片づけなきゃって気持ちはあっても、
気力と体力が続かないご様子。
Over 80という年齢ですもの。
若い頃のようにはいかなくて当然。
先日は、いっぱいになったモノを見て、
「私の人生、なんだったんだろ?」
なんて、ボソっと呟かれた。
ご自分にとっては、何かしらの感情があるモノ達。
けれど、これを子に残したところで、
自分と同じような感情は持たない事、
残すことで子供に迷惑をかけるという思いもあって、
かなり葛藤されているご様子。
先ずは、そんなに感情が入ってないであろう
山のように取ってあった領収書などの書類から、
ひとつひとつ丁寧に見ながら仕分けを始めた。
書類に紛れて1枚の写真が出てきた時、
「ちょっと聞いてもらっていいかしら?」とAさん。
そこに映っていたのはAさんのお母様で、
写真は約100年ほど前のモノ。
そこから、話が膨らんで、
お母様の仕事のことやご自分の幼少期のこと、
ご主人と知り合った時のエピソードなど、
色んなことをお話して聴かせて下さった。
そうしてお話をしていると、
作業の初めは、しょぼんとしていたAさんが、
みるみる元気になって作業の手も進んだ。
「あなたが来てくれると元気になるわー!」
とAさんは仰って下さったが、
これまでの人生を振り返って口出して話し、
誰かに聴いてもらうことで、
ご自分の気持ちも整理されていっているってことで、
私は、ただ単に、そうなるように促しているだけなのだ。
だから、自分で自分を元気にしているってこと。
やっぱ、モノは処分しても、
それにくっ付いている思いでや感情は、
誰かに残しておくことは大切なこと。
そうしないと、モノへの執着は薄まらない。
これを省いてしまうと、自分のこれまでの人生を
簡単にポイっと捨てられたような気持ちになる方が多い。
現にAさんも、初めてお会いした日までは、
お子様に依頼されて来た私が、
パパっと私の価値観で仕分けをし、
自分のモノを処分してしまうのではと思い込んで、
とても、哀しかったと仰っていた。
片づけにかかる時間、費用、親世代の価値観や自尊心、
このバランスを取るのはとても難しいことだが、
これまで知らなかった親の人生を少しでも知っておくことは、
子の人生にとっても無駄にはならないのでないかと思う。
シニア世代の心身の特性に配慮した整理収納・comfy living