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コラム
遺贈寄付の関心が高まった 背景にコロナ禍の影響も
2022年9月5日
日本の寄付の現状を分析する「寄付白書2021」(日本ファンドレイジング協会)が4年ぶりに、2021年12月に発行されました。東日本大震災以降10年間の寄付をめぐる変化や、コロナ禍の影響などを分析する内容です。同協会代表理事の鵜尾雅隆さんが以下のように分析しています。
「寄付白書2021」で見えてきたのは、着実に寄付が広がっていること、特に遺贈寄付に対する関心が高まっているということです。コロナ禍では、インターネットで寄付を募るクラウドファンディングの活用などが顕著になっています。
つまり、全体のトレンドとして寄付が進んだと結論できます。クレジットカードを使った個人の寄付がこの10年で5倍に伸びて全体の25%を占めるようになったほか、寄付が多様化しました。遺贈寄付への関心が大きく高まっていることは特筆されます。「寄付と言えば共同募金」などの街頭募金というイメージから、大きく変わりました。
遺贈寄付への関心が高まったことの理由として、一つは「高齢化」と「生涯未婚率」の高まりです。もともと孤独な人の割合が多い日本ですが、「つながり」のない方が増え、財産を残す相手がいない人が増えています。次世代のために何かしたいと思う人が増えている感じがします。株や動産の寄付をしやすくするなど社会的制度も徐々に改善されてきました。
遺贈寄付の規模は正確にはつかめていませんが、相続申告時に遺贈などで控除申請した件数はこの10年間で2倍弱、金額は2倍強になっています。いまマンスリーサポーターなどとして活動を支えている高齢者が遺贈寄付をする世代になっていくと、更に大きな可能性があります。人生の集大成として次世代のためには、日本の社会や文化にマッチしているのではないでしょうか。
高度成長期には行政に任せておけばある程度上手くいっていたと思うのですが、低成長下で少子高齢化や財政赤字が膨らみ、行政だけでは解決できない問題が増え、NPOなどさまざまなプレーヤーを巻き込んで解決する必要が出てきました。そこに寄付の必要性があることが大きなポイントです。
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