転居や転勤に伴う歯科矯正治療の離脱と転院
当院における小児矯正は、取り外し可能な床矯正装置を使用して、お子さまの歯並びの悪い部分を矯正する治療です。この治療の最も重要なことは、治療開始時期と治療終了時期が明確だということです。「どういった治療なの?」と保護者の方から聞かれることがあります。そういったとき、私は「小児における歯列矯正は、その取り扱いや管理が小児の弱視矯正装置(眼鏡)と似ています」とお伝えしています。
目次
小児の矯正治療は大変ですか?
当院の床矯正装置は樹脂と金属のバネ、そしてネジが組み込まれた器具で、噛み合わせや顎骨の成長の問題を改善します。萌出間もない永久歯や乳歯にフィットさせて治療効果を発揮させます。この効果を発揮するには一定時間装着する必要があります。床矯正装置は取り外し可能なので、歯磨きや屋外での活動、スポーツ、基本的な日常生活に与える影響は軽微です。
なぜ小児の歯列矯正が行われるのですか?
歯の周りの骨構造がまだ発達中の小児期に矯正治療を行うと成人期以降の歯並びの悩みから開放されます。また、成人の歯列矯正にくらべ上顎骨が完全に発達する前の早い段階で問題を発見し、修正する方が負担がはるかに少ないです。
12歳を過ぎる頃には、顔の骨格を修正するには 顎矯正手術(歯科矯正手術と組み合わせる場合もあります)しか方法がなくなります。手術を伴う歯列矯正は、顎の骨が完全に発達した成人にのみ適用されます。
小児矯正治療では何が大切ですか?
お子さまは6歳時に最初の歯列に関する評価を受けます。検診結果に従い、矯正歯科にて小児矯正治療が必要か否かの詳しい診査・診断を受けることが望ましいです。8歳を過ぎると乳歯は徐々に抜けて永久歯に生え変わります。遅くとも8歳までには、矯正歯科にてお子さまに矯正治療が必要かどうかを判断をもらうとよいでしょう。
お子さまが歯列矯正治療を必要とする場合、矯正歯科医はお口の中の型を取り、それをもとに床矯正装置を製作します。歯列矯正治療中は、治療の進行状況を評価し、器具を締めたり、必要に応じてバネやネジ、形の調整をしたりします。つまり、来院による定期的な診察が不可欠です。
子どもには矯正治療を受ける前に何か準備はありますか?
一般的に言えば、小児の矯正治療は大きな外科手術や、通常の口腔衛生指導以外の特別な処置を必要としないため、お子さまが治療の準備をする必要はありません。ただし、治療そのものはお子さまの協力があってはじめて成り立つものですから十分に親子で話し合う必要があります。また、小児の矯正治療も、多くの成人矯正と同じように健康保険による療養の給付に該当しないため装置の製作、調整、診察を含むすべてが自由診療(保険外診療)となります。
小児矯正にはどのようなトラブルがありますか?
小児の矯正治療では通院に協力する保護者と治療を理解し、実践するお子さまの協力という両者の一致が求められます。通院指示に従えない場合や装置を使用しない場合があると望んだ治療結果が得られません。また、12歳時に治療を終了して以降、子どもの顎・頭蓋の発達によっては歯列不正が再発することはありえます。また、非常に稀ではありますが装置によるアレルギーを発症する可能性もあります。
小児の矯正治療に代わる方法はありますか?
お子さまの歯の問題のすべてが矯正治療を必要とするわけではありません。また、成人してから本人の意思で歯列矯正を受けることもありえます。ただし、成人に至ってからの歯列矯正は時間的・金銭的な負担が大きくなります。また、綺麗な歯並びや正常なかみ合わせによる恩恵を享受できる時期が短くなります。