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歯列矯正治療のリスクの軽減と安心感

北條智之

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テーマ:マウスピース矯正 北上

デジタル矯正といえば、現在ではアラインテクノロジー社によって発売されているiTeroに代表される光学印象を用いた3D画像とそのシステム上で歯を並べるものだとされています。しかし、実際の歯は顎骨に埋まっている部分・歯根があります。歯列は骨格によっても様々な制約を受けており、解剖学的な資料も治療するうえでは必要となってきます。

インシグニアは、2005年Ormcoで開発され、2019年に厚生労働省から認可を受けたラビアル矯正装置で唯一の矯正装置※1です。その歴史は古く、1987年に矯正歯科医Dr.Craig Andreikoによって初期のシステムが考案されました。そのプロセスは患者さんの骨格と歯の解剖学的情報をデジタル化するところから始まります。処方される矯正装置は治療ゴールとして望ましい位置に配列された歯列に従い、リバースエンジニアリングプロセスによってカスタムブラケットとアーチワイヤーが作製されます。この装置の利点は治療結果の向上と治療時間の短縮のための重要な一歩でもあります※2。

近年においては、「目立たない」「痛くない」「通院がすくない」としてアライナー矯正(いわゆるマウスピース型矯正装置)が一般歯科診療所でも数多く処方されています。その臨床実績は約20年近いものとなっているとは言え、インシグニアの基礎となる矯正装置(方法)であるストレートワイヤーアプライアンスは1976年に臨床応用されていました。ブラケット矯正の持つ臨床実績が、一朝一夕にマウスピース矯正を凌駕するとは考えにくく、そういった点において全ての患者さんをマウスピースで治療することはリスクが高いと考えられます。

患者さんにとっての矯正治療のハードルのひとつに「先が見えにくい」不安があります。「完成形が見える」状態で治療を最初から最後まで直接行うこと※3で、歯科医師のヒューマンエラーを減らしつつ、非常に効率的かつ最適な治療が行えます。また、矯正治療をいざ受けようとすると一般歯科診療所では単なる治療メニューのひとつとして行われますから、通院中には一般歯科治療を受けられる患者さんと同じ時間になったりして、孤独な環境におかれることもあります。もしくは矯正治療を受ける曜日を指定されて矯正治療日と称して実施されることもあります。身近に他の通院患者を感じづらい環境や通院の曜日を指定されるのも、いざという時きちんと対応してくれるかどうか不安が残ります。

当院は、矯正治療とインプラント治療を専門としています。当然、治療メニューも矯正治療に特化しています。通院している患者さんの100%が矯正治療(またはインプラント治療)を受けられたか、もしくは現在受けている方々です。「ひょっとして自分だけだろうか」という心配はありません。矯正歯科専門医院であるメリットは、矯正治療に特化し、専門としていることによる手技の習熟とそれに伴う患者さんにとっての安心感です。大学を卒業してすぐに上手な歯科医師はいません。もし仮に、入れ歯や歯周病治療を含めるような幅広い治療メニューのすべてを一流にまで高め、かつその練度を維持するのはもはや超人技ではないでしょうか。
※1Ormco Vol.5 May.2020
※2Roberts WE, Viecilli RF他 J Orthod Dentofacial Orthop2015;148:943-955
※3Angle Lee,Chris Chang,W.Eugene Roberts,IJOI47 iAOI Case Report

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専門家

北條智之(歯科医師)

北上インプラントデンタルオフィス

インプラント歯科学の権威、ウルリッヒ・ヨース博士の治療法を専門的に学んだ知識と3DCTなど先進設備で、グローバル・スタンダードな治療を心掛けています。

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