親から子へ歯並びは遺伝するのか?
当院におけるお子さまへの矯正治療(以下、小児矯正)の目的は、「永久歯萌出完了前期に良好な歯列を獲得することによって、その後の顎・咬合の健やかな成長を期待する」ことにあります。永久歯萌出完了前期とは、12~16歳頃の時期を差します。ちょうど第2次成長期が始まる頃です。そのため、小児矯正は12歳までに終える必要があります。
それでは、いつ頃小児矯正を始めるべきでしょうか?お子さまの発育や従命(理解力)の程度にもよりますが、概ね6歳ころから始めるのが良いと考えています。当院で使用する小児矯正用の装置はお子さまの成長速度に応じて使用するものであり、良好な成長をアシストすることで、適切な永久歯交換期と咬合を徐々に獲得するものです。例えば、10歳ころから小児矯正を始めようとしますと12歳までに小児矯正は終えなくてはいけませんから、治療期間が非常に短くなります。治療時期が遅くなればなるほど、来院時点で重要な乳歯がすでに永久歯との交換のため脱落していたり、反対に永久歯の萌出を待たないといけないために矯正治療介入ができなかったりするなどトラブルに見舞われやすい傾向にあります。
小児矯正で大切なことは、治療の開始時期と終える時期だけではありません。当院で使用します小児矯正用の装置は、基本的には取り外し式となっています。そのため、正しい使用方法や保管方法、適切な使用時間が治療の肝となってきます。加えて、お子さまは成長とともにお口の中もどんどん変化していきますから装置の修理や再製作が何よりもかかせません。当院の患者さまで一度お作りした小児矯正装置を1年以上にわたり修理も調整もなしに使われていたケースがありますが、それでは望んだ治療効果が得られません。
小児矯正中は、少なくとも2カ月に1度、多い場合ですと月に2~3回の来院を求める場合がございます。お体の成長にあわせて、自ら変化したり、状態に合わせて自動的に適切な矯正力を発揮する装置は現時点は存在しません。歯科医師による細やかな管理と介入が何よりも重要です。小児矯正をお考えの際には、お子さまと相談の上、通院できるのかどうかや矯正装置を受け入れることができるのかどうかも話し合っていただきたいと思います。ご不安やご不明点があれば、いつでも相談してください。