就活とオワハラ
先日、劇団員が死亡したニュースの中で、「安全配慮義務」を果たしていなかったと、劇団の理事長から反省の弁がありました。
この「安全配慮義務」とは何かと申しますと、簡単に言えば、企業が従業員の健康と安全に配慮する義務の事です。
「安全配慮義務」は労働契約法や労働安全衛生法に関わってきますが、安全配慮義務違反そのものには特に罰則は定められていません。ただし、刑事責任を免れても、従業員およびその家族から民事の損害賠償請求をされることがあります。その場合、今回の劇団のように、社会的信用を失うことや、今後の経営にも大きく影響を与えることになるでしょう。
安全配慮義務には、「健康配慮義務」と「職場環境配慮義務」があります。
「健康配慮義務」は、従業員の心身の健康に配慮する義務で、健康診断の実施や産業医・カウンセラーの配置、労働時間の管理などがそれにあたります。
「職場環境配慮義務」は、従業員が安全に働けるような労働環境を作り、維持するように配慮する義務で、施設の管理や安全装置の導入・マニュアルの完備、ハラスメント対策などになります。
長時間労働に加えて、ハラスメントの対策を行っていなかったとなれば、劇団はどちらの配慮義務にも違反していたことになります。実際、仕事によって心身の不調を訴える人は、ひとつだけの理由ではなく、複合した原因があることが多いと聞きます。逆に言えば、せめてどれかひとつでもきちんと対応していれば起きなかったかもしれません。
罰則がないからと軽視せず、労災を未然に防ぐための努力を怠らない、安心安全に働くことができる職場であれば、従業員に選ばれ定着率の高い企業となるでしょう。