就活とオワハラ
昨年、ある洋菓子店で働いていた男性が、労働審判を申し立てました。
理由は、求人サイトに記載されていた月給額より、実際に支払われた月給額が10万円以上も少なかったからです。
これに対し、地裁は会社に男性へ未払い賃金90万円の支払いを命じました。
報道によると、会社側は閲覧数や応募人数を増やすために給与額を高く表示したと認めています。
これでは虚偽の求人を出したと言われても仕方がないと言わざるを得ません。
求人募集には、職業安定法に定められている募集のルールがあります。
契約期間や就業場所、就業時間・休日、賃金の額など、最低限明示しなければならない項目があること、また、記載してはいけないこともあります。性別や年齢、本人では変えようがない出生地に関することや、宗教など適正・能力に関係ない項目を表現してはいけないことになっています。
それによって、以前の「保母」「看護婦」「ウエイター」など男女の区別があった職種名は、現在「保育士」「看護師」「ホールスタッフ」などといったように、性別の違いがない名前で表現されています。
そして冒頭のような実際とかけ離れた賃金を提示したり、親会社の名前を使って子会社が募集したりと、応募者に誤解を与える表現や虚偽の求人を出した場合、職業安定法違反となり、罰則が与えられることがあります。
最近は、求人サイトが増えたことにより、幅広く職を探すことができるようになりました。
しかし、紙の募集広告とは違い、応募があったあと、すぐに消すことができるため、証拠が残りにくくなっています。応募者は念のため、募集広告等をプリントアウトやスクリーンショットなどで残しておいた方がいいかもしれません。同時に、雇用契約を結ぶ時は、きちんと内容を確認する必要もあります。
また、企業側も昨今の人手不足から、「選ぶ側」から「選ばれる側」になっていることを自覚して、正直に情報を開示し、ルールに則った求人広告を出さなければなりません。法律違反をしてしまえば、企業の信用度は大きく低下してしまいます。
募集者、応募者ともに納得できる雇用関係を結ぶことが、結果的に無用なトラブルやリスクを防ぐことになります。