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耕作放棄地率の増加と担い手不足

山下祐介

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耕作放棄地率
出典:「RESAS(地域経済分析システム)-農地分析-」(https://resas.go.jp/agriculture-land/#/abandoned/9.711953706158134/37.3905568/136.8991846/17/17204/2/2015/5/1/-/-) (2021年6月20日に利用)

「耕作放棄地」という言葉をご存じでしょうか?
『以前耕作していた土地で、過去1年以上作物を作付け(栽培)せず、この数年の間に再び作付け(栽培)する意思のない土地』と、定義されています。

農林業センサス等に用いる用語の解説
https://www.maff.go.jp/j/study/census/2015/1/pdf/sankou5.pdf
(2022年2月13日に利用)

何も作付けされず、作付けする意向もない農地が増えれば増えるほど、その農地は荒れ果てる原因になってしまいます。

そんな「耕作放棄地」が、全農地にどの程度占めているのかを表すのが「耕作放棄地率」です。
具体的には、
『耕作放棄地面積÷(全耕地面積+耕作放棄地面積)』
で、計算された数値です。

そして、この『耕作放棄地率』の増減を時系列で示したのが、上記画像です。
世界農業遺産認定の地である能登地方にある輪島市。そんな輪島市の現状はと言いますと、耕作放棄地率は30%を超えています。これは、石川県全体の平均の約2倍、全国平均との比較では約3倍という、非常に高い数値なんです!しかも、年々増加傾向というのがうかがえます。


輪島市農業経営体数の推移
『参考:農林センサス2010/2015/2020』

そして、農業者の数はと言いますと、こちらも年々減少傾向…。
輪島市の農業経営体数は、この10年で半数になってしまいました!

農業者の法人化、大規模経営化が進んでいることもあり、経営体数が減少しているからと言って、直ちに悲観的になる必要性はないのかもしれません。
しかし、農業経営体数は減少し、耕作放棄利率は上昇の一途(それもかなり高い数値で!)ということを考えたら、今後も耕作放棄地率は増え続けていくのでしょう…。このままでは、農業に携わる人も減少し、農地の維持が年々困難になっていく可能性が非常に高いのではないでしょうか?

もちろん、そうなるには原因も存在します。
水田が圧倒的に多い奥能登では、米価の下落もあって収入の確保が厳しいという面もあるでしょう。程度に差はあれ、棚田や耕作条件の悪い農地も多く、コストも高くなりがちという、環境的な要因も考えられます。収入面以外でも、キツイ労働環境・労働条件なども考えられるかもしれません。

いずれにせよ、『世界農業遺産』であるこの能登において、この現実は改善しなければいけないのではないでしょうか?
世界農業遺産は、ユネスコの世界遺産とはまた異なります。しかし、世界中に認められた地域だからこそ、守っていく責務があるのではないでしょうか?
「世界農業遺産になったから、観光客が増えた」(本当にそう言えるかは定かではありませんが)というメリットに浮かれているだけではいけないと思います。

この現状を改善するためには、全ての関係者が現実を直視し、真剣に方向性を考えていかなければいけないと思います。
議論を経たうえで。奥能登の農業を維持・発展させるための短期的・中長期的なビジョンや具体策が求められていると感じています。

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山下祐介
専門家

山下祐介(農業)

のと栄能ファーム

当初農業の知識はなかったが、だからこそ従来の方法に縛られず、独自の発想で新しい稲作に取り組むことができた。コストや労力がかかる棚田での米作りを逆に特徴と捉え、他と差別化したブランド米を生産している。

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