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「健康診断が正常でも安心できない“食後スパイク”。中高年に最も多い血糖の乱れです。」
目次
初めに
先日テレビの情報バラエティー番組で食後血糖値について放送していました。気になったので調べてみました。
私たちの体は、食事をすると血液の中に糖が吸収され、血糖値が自然と上がります。これ自体は正常な反応ですが、中高年になると「食後だけ血糖値が急激に上がる(=食後高血糖)」状態になりやすくなります。
近年、この急激な上昇は “血糖値スパイク(glucose spike)” と呼ばれ、糖尿病の前段階で最も注意すべき現象の一つと考えられています。
なぜ血糖値スパイクが危険なのか?
血糖値が急上昇すると、それを下げるために大量のインスリンが分泌されます。しかしインスリンの効きが弱くなっている“糖尿病予備軍”の状態では、必要以上に血糖値が乱高下しやすくなります。
さらに研究では、以下のリスクが示されています。
- 動脈硬化の進行を強める(血管の内皮細胞を傷つける)
- 心筋梗塞・脳卒中のリスク上昇
- 食後の眠気・だるさ・集中力低下
- 食欲の乱れ(早い空腹感)につながる
つまり、たとえ HbA1c が正常範囲でも、「食後だけ血糖値が急に上がる」ことは放置できない健康問題なのです。
本コラムでは、近年注目されている コーヒー・紅茶による血糖上昇の抑制効果を中心に、食後血糖値スパイクを防ぐ生活習慣をわかりやすくまとめます。
紅茶は食後血糖値を抑える可能性がある
紅茶は食後血糖値を抑える可能性がある
まず注目されているのが紅茶です。
紅茶に血糖上昇を抑制する臨床研究
2017年、タイで行われたランダム化二重盲検クロスオーバー試験では、紅茶を食事と一緒に摂ることで、食後の血糖値とインスリンの上昇が明らかに抑えられたと報告されています(Butacnum A. et al., Asia Pac J Clin Nutr 2017)。
紅茶に含まれるポリフェノールが、腸で糖が吸収される速度を緩やかにしていると考えられています。
紅茶実践ポイント
無糖の紅茶を食事中〜食後15分以内に。ミルクや砂糖は血糖値の急上昇を招くため“基本はストレートで。
緑茶は「長期的な血糖コントロール」に有望
緑茶に含まれるカテキンは、血糖値を下げる作用が注目されています。
メタ解析(Xu R. et al., Nutrition & Metabolism 2020)では、長期的に緑茶を飲むことで空腹時血糖や体脂肪に良い影響を与える可能性が示されています。
ただし食後の即効的なスパイク抑制は研究により差があるため、“継続して飲む”ことが効果的と言えるでしょう。
コーヒーは種類と飲むタイミングで効果が変わる
コーヒーは、研究で「良い面」と「注意すべき面」がはっきりしています。
1)通常(カフェイン入り)コーヒー
カフェインは交感神経を刺激するため、一時的にインスリンの働きを弱め、食後血糖を上げてしまうという報告があります(Robertson T.M., 2015)。
特に糖尿病予備軍の方は、食後にカフェイン入りコーヒーを飲む習慣は注意が必要です。
2)デカフェ(カフェインレス)コーヒー
一方で、デカフェは異なる結果が出ています。
Wong THT.(2020)の研究では、デカフェを食前に摂ると、その後の高GI食の血糖上昇を抑制したことが報告されています。
これは、コーヒーに含まれるクロロゲン酸などの成分が、糖の吸収や肝臓での糖放出を抑えるためと考えられています。
コーヒー実践ポイント
食事中・食後にコーヒーを飲むなら デカフェ
カフェイン入りは「食後の血糖値が上がりやすい人」には不向き
ブラックが基本(砂糖・ミルクで血糖値上昇)
飲み物以外でスパイクを防ぐ方法(医学的エビデンスあり)
コーヒーやお茶以外にも、食後の血糖上昇を抑える「生活習慣の工夫」が医学的に多数報告されています。
① 「ベジファースト(野菜→タンパク質→炭水化物)」
食事の順番を変えるだけで、糖の吸収速度が大きく変わります。
食物繊維 → 糖の吸収スピードを緩める
たんぱく質・脂質 → 胃の内容物の排出を遅らせる
研究でも、食物繊維を先に摂ることで食後血糖値が30〜40%改善したとの報告があります。
② 食後10〜20分の軽いウォーキング
筋肉が血糖を“取り込む”ため、
食後のウォーキングは最も確実にスパイクを抑える方法です。
食後30分以内に10〜20分
ゆっくりでOK(息が弾まない程度)
血糖値が高いほど効果が高いことも報告されています。
③ 食事の「GI値」を意識する
中高年になると、炭水化物の質の影響が大きくなります。
スパイクを起こしやすいもの
- 白米
- パン
- うどん
- ジュース
- 玄米
- 全粒粉パン
- そば
- 野菜・海藻類
などは血糖上昇を緩やかにします。
④ 朝食を抜かない
朝食を抜くと、昼食の血糖値が跳ね上がりやすいことがわかっています。体が“飢餓モード”になり、血糖の調整が乱れるためです。
⑤ 食事中の「早食い」を防ぐ
早食いは血糖値の急上昇を確実に引き起こします。
- 一口30回噛む
- 最初の5分をゆっくり食べる
- 飲み込み終えてから次の一口を入れる
が効果的です。
今日からできる”おすすめの組み合わせ
中高年の糖尿病予備軍の方は、次のような組み合わせが最も安全で効果的です。
- 食前:サラダ or 食物繊維の多いものを少量
- 食事中(または食後15分以内):無糖の紅茶
- コーヒーを飲むなら:デカフェをブラックで
- 食後10〜20分のウォーキング
これらを組み合わせることで、“血糖値スパイク”を大きく減らせる可能性があります。
参考文献(本文で紹介した研究)
Butacnum A. et al., Asia Pac J Clin Nutr, 2017.
“Black tea consumption improves postprandial glycemic control in healthy and borderline diabetic adults.”
Robertson TM. et al., 2015.
“A single serving of caffeinated coffee impairs postprandial glucose metabolism.”
Wong THT. et al., 2020.
“Consumption of decaffeinated coffee with milk and sugar reduces postprandial glycemic response to high-GI foods.”
Xu R. et al., Nutrition & Metabolism, 2020.
“Green tea catechins and glycemic control: A meta-analysis.”
Louie JCY. et al., 2008.
“Delayed effects of coffee, tea and sucrose on postprandial glycemic response.”





