キジ・ヤマドリ養殖で失敗しないための基本と準備

木村良彦

木村良彦


キジやヤマドリの種卵をお求めになる方から、「思っていたより簡単そうだから、自分でやってみます」という言葉をよくお聞きします。その気持ちはよく分かります。生きものを育てる喜びは何ものにも代えがたく、私自身もその魅力に取りつかれて、茨城県日立市でこの道を50年近く歩んでまいりました。

ただ、毎年この時期になると、最初の小さなボタンの掛け違いさえ防げれば、もっと多くの方がヒナの誕生という感動にたどり着けたはずだと思うのです。今日は、キジ・ヤマドリ養殖でよくある失敗と、その防ぎ方についてお話しさせていただきたいと思います。

「簡単そう」という油断が招く失敗

飼育そのものは決して難しいものではありません。実際に、私はいつも「飼育は難しいものではありません」とお伝えしていますし、餌も市販のニワトリ用飼料で十分育ちます。だからこそ、かえって基本を軽く見てしまう方がいらっしゃるのです。

そもそもニワトリ類と野生の鳥類は環境から餌など様々な相違点があります。
かけ離れた点を重点的に捉え常時観察を行うことに徹しています。

自然交配とは、人工授精に頼らず、野生に近い環境でオスとメスを交配させて有精卵を得る方法のことです。キジやコジュケイは自然交配で有精卵を得られますが、ヤマドリは本来とても難しく『難しくない、生態の観察でマスター』人工授精が一般的とされています。それでも自然界で繁殖しているのに出来ない事はない!!当養殖場では創業当初から自然交配にこだわり、長年の観察の積み重ねで受精率85〜95%を実現してきました。

この「観察の積み重ね」こそが基本です。勿論記録をとるのがお勧め基本を身につけないまま思いつきで進めてしまうと、せっかくの種卵が無精卵だった、孵卵の設定を誤った、という残念な結果につながりかねません。

そもそも、私が扱う3種はそれぞれ性質が違います。日本の国鳥であるキジは民話にも登場する身近な鳥で、雄は全長約80cm、鮮やかな緑色の体と赤い顔が印象的です。

ヤマドリは私が一番好きな鳥で、雄は全長約120cm、光沢のある赤褐色の羽と、時に1mにも達する美しい尾を持ちます。コジュケイは全長約30cmと小ぶりで、『ちょっとこい』と呼びかけるような独特の鳴き声が魅力です。

同じ「野鳥の養殖」とひとくくりにせず、それぞれの個性を理解することが、最初の一歩なのです。

個々の性格を把握することも大切です。同じヒナでも、人になつきやすい子もいれば、警戒心の強い子もいます。私は日頃から観察を欠かさず、健康維持に努め、優良な個体を確保する知見を蓄えてきました。
つまり、例えるなら農作物の改良のようなもので優勢なものを温存、劣勢は淘汰
年々繰り返し。。これに付きます。

この地道な観察こそが、思いつきの飼育と、長続きする飼育とを分ける分岐点だと感じています。

年に一度のチャンスを逃さない準備

野鳥の繁殖には季節があります。ヤマドリは晩秋の頃から発情の状態に入り、繁殖のタイミングは年に一度きり。ここを逃すと、また一年待つことになります。

種卵は2通りございます。
・産み立ての種卵 (有精卵、無精卵は未知です。)
・ふ卵器で21間保温(100%有精卵)

ですから私は、お求めになる前の準備を何より大切にしています。種卵は発生3日前後の状態でお渡ししますので、孵卵器、あるいは抱卵してくれるチャボをあらかじめ準備しておくことが欠かせません。

輸送についても正直にお伝えしています。種卵は温度の影響を受けやすく、遠方への宅配では孵化に重大な影響が出ることがあるため、できるだけ当養殖場へ直接お引き取りにいらしていただくのが最善です。過去には輸送が原因のトラブルもございました。

こうした一つひとつの段取りは地味に見えるかもしれません。けれど、年に一度のチャンスを確実にものにするために、大事な箇所は何度も繰り返し見直していただきたいのです。

具体的にお伝えすると、有精卵はキジ・ヤマドリいずれも10個以上からのご用意となります。孵卵器をお持ちでない場合は、抱卵してくれるチャボを準備していただく方法もあります。

どちらを選ぶにせよ、卵が届いてから慌てるのではなく、繁殖期に入る前から温める環境を整えておくことが肝心です。私は「準備が八割」とよく申し上げますが、本当にそのとおりで、孵化の成否は卵を受け取る前にほとんど決まっているといっても過言ではありません。
ふ卵器は各社大小ありますのでマニュアルを良く読んでふ卵器の「癖」を掴む事
失敗は私自身が一番重ねてきました
偉そうにお話ししていますが、生きものを育てる仕事は失敗の連続です。これは私自身が誰よりも痛感してきたことです。

一人(兄弟二人)で鳥を管理してきたこの50年、病気で6000羽を一度に失ったこともありますし、キツネ1匹に約1000羽が傷つけられたこともありました。雪の重みでネットが破れて鳥が逃げ、台風の大雨で大量死したことも。 火災も経験

教え導いてくれるネットワークもなく、すべてを自分で考えて解決するしかありませんでした。気候も病気も獣害も、大変なことはだいたい経験したと思います。

だからこそ申し上げたいのです。失敗そのものは恥ずかしいことではありません。失敗なくして成功への道はありません、防げたはずの失敗を「簡単だから」と油断して招いてしまうこと。私が膨大な後処理と引き換えに学んだ知見を、これから始める方にはぜひ近道として使っていただきたいと思っています。

思いつきで進めず、じっくり相談を

「すぐに飼い始めたい」というお気持ちはうれしいものです。ただ、思いつきで事を運ぶのではなく、まずはじっくり検討していただくことをおすすめしています。郊外の静かな環境が望ましいこと、イタチや野良ネコといった害獣から鋼板、トタンなどで守る必要があること、スペースは1坪程度から始められること。事前に知っておくだけで防げることはたくさんあります。

飼育に関するご相談は、いつでもお受けしています。「規則正しい生活が身についた」「毎日やることがあって生きがいになった」など、飼養を始めた方からそうした声をいただくたびに、丁寧な準備の大切さを実感します。当養殖場の飼育の仕方や購入の順序はホームページにも詳しくまとめておりますので、あわせてご覧ください。(http://www.torihiko.jp

育てた先に広がる、希少な食材の世界

基本を押さえて育てた鳥は、愛玩用としてだけでなく、希少な食材としても価値を持ちます。キジ肉は高たんぱくで脂質が少なく、カロリーも鶏肉の約半分とヘルシー。コジュケイはあっさりと上品な味わいで、ヤマドリの身は弾力があり、しっかりとした食感で濃厚なコクと甘みが特徴です。

これらは販売禁止鳥獣のため、都道府県知事の許可を持つ養殖場だけが扱える貴重な品です。とりわけヤマドリの肉は、猟以外では市場でほとんど手に入りません。

当養殖場の養殖ヤマドリ肉は国内初の試みで、国の基準を満たしているからこそご要望にお応えできます。すき焼きやしゃぶしゃぶ、炭焼きやオーブン焼きなど調理法も多彩です。

野鳥の肉といえばハンターが狩猟するイメージをお持ちの方が多いのですが、実は衛生管理を徹底した養殖という選択肢があります。基本を大切にした飼育は、こうした奥行きのある世界へとつながっているのです。

キジ・ヤマドリの飼育を初めて検討している方
種卵や孵卵の準備に不安がある方
繁殖期に向けて何から始めるべきか迷っている方


このような方は、日本キジ・ヤマドリ養殖センターまで、まずはお気軽にご相談ください。

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木村良彦
専門家

木村良彦(ヤマドリ、キジ、コジュケイの養殖)

日本キジ・ヤマドリ養殖センター

キジ、コジュケイは自然交配で有精卵獲得出来ますがヤマドリは難しい  よって人工授精によって獲得するのが一般的です。 当農場では当初から自然交配に拘り獲得する事を確立  長年の経験が大きい

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