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自然に近い環境でキジ・ヤマドリ・コジュケイを養殖し、食用・観賞用・放鳥用として展開

キジ・ヤマドリ・コジュケイを自然交配で養殖する専門家

木村良彦

木村良彦 きむらよしひこ

#chapter1

野鳥の自然交配を手掛け、良質で希少な食材として飲食店や宿泊施設に提供

 茨城県日立市で、約50年にわたり「日本キジ・ヤマドリ養殖センター」を営む、代表の木村良彦さん。日本の固有種であるキジやヤマドリ、中国由来のコジュケイ、3種を専門に、約1.2ヘクタールの広大な敷地で食用・観賞・放鳥用に飼育しています。

 「最大の特徴は、人工授精ではなく、自然交配方式を貫いていること。野生に近い生態で繁殖させることで、ストレスなく健やかに育て、良質な肉質を維持しています。すき焼き、しゃぶしゃぶのようなお鍋、炭焼きやオーブン焼きなど調理法は多彩で、消毒による衛生管理を徹底しているので、ササミは刺し身でも食すことができます」

 キジ肉は高たんぱくで脂質が少なく、カロリーも鶏肉の約半分とヘルシー。コジュケイはあっさりと上品な味わい。ヤマドリの身は弾力があり、しっかりとした食感で濃厚なコクと甘みが特徴。販売禁止鳥獣のため、都道府県知事の許可を持つ養殖場だけが扱える貴重な品です。

 脱毛・処理済みで1羽から対応し、足やクチバシといった手に入りにくい部位も提供。4〜5カ月で育ち、夏ごろからジビエ需要が高まる秋冬に合わせて供給しています。

 「連絡が入れば2〜3日で出荷し、日本料理やそば屋さん、フレンチなど、多方面からお問い合わせを頂戴しています。飲食店、ホテルや旅館では希少な食材でメニューの価値を高め、精肉店では品ぞろえを充実させ、他店と差別化を図ることができます。野鳥の肉といえばハンターが狩猟するイメージがありますが、養殖について知っていただく機会になれば幸いです」

#chapter2

自治体などからの依頼で放鳥用を育成し、地域おこし協力隊に知見を還元

 かつて兄弟で運送会社を運営し、全国各地に出向いていたという木村さん。秋田へ訪れたとき、知人が数千羽に及ぶキジを飼育しているのを目にして、「これだ!」と直感したことが、転機となりました。

 「私は鳥が好きで、キジ科のホロホロ鳥やオナガドリといった国内外の珍しい品種を100種類以上も飼っていました。多くの人に愛鳥をめでる豊かな暮らしを届けたいと思い立ち、趣味が高じて、1977年に養殖センターを立ち上げました」

 本業として軌道に乗せるべく業務に励みますが、一人で鳥を管理する日々は、苦労の連続。病気で6000羽が一度に亡くなったり、キツネ1匹に約1000羽が傷つけられたり、雪の重みでネットがやぶれて鳥が逃げたり、台風の際は大雨の浸水で大量死したり。被害に遭うたびに膨大な数の後処理にも一人で向き合いました。

 「教え導いてくれるネットワークもなく、すべての問題を自分で考えて解決してきました。気候・病気・獣害など、大変なことはだいたい経験しましたね。日頃から観察を欠かさず、健康維持に努め、優良な個体を確保する知見を蓄えました。ヤマドリの自然交配では、受精率85〜95%を達成しています」

 こつこつと築いた実績は、各地の自治体や団体からも評価。山形県や大阪府、四国方面から放鳥用のキジやヤマドリの育成を依頼されるほか、茨城県の紹介で地域おこし協力隊を受け入れ、養殖の知識と技術を伝授。長年の経験を社会に還元しながら、野鳥文化の維持と発展に貢献しています。

#chapter3

愛玩用として有精卵やヒナの生体、成鳥も販売し、飼養の相談にも対応

 勇ましく、凛としたたたずまいなど、鳥に魅了される木村さん。茨城県の認可を受け、愛玩用として、有精卵・ヒナの生体・成鳥を販売しています。

 「日本の国鳥であるキジは民話にも登場し、古くから親しまれています。雄は全長約80cmで、鮮やかな緑色の体と赤い顔が印象的です。ヤマドリは私の一番好きな鳥。雄は全長約120cmで光沢のある赤褐色の羽と、時に1mにも達する美しい尾を持ちます。全長約30cmと小ぶりなコジュケイは、『ちょっとこい』と呼びかけるような独特の鳴き声が魅力です」

 郊外の静かな環境が望ましく、イタチや野良ネコのような害獣対策として、爪がかからないトタンなどで外敵から守り、消毒・土壌の整備を通じて清潔に保つことが肝要。個々の性格を把握することも大切で、スペースは1坪程度から。庭を囲って飼っている顧客もいるとか。餌は市販のニワトリ用飼料でOK。青菜などの野菜も好んで食べると言います。

 「『お世話をするため早起きになり、規則正しい生活が身につく』『餌やりや掃除などで、運動になる』と喜ばれています。『毎日やることがあり、生きがいになった』というお声もあり、皆さまが日常を楽しみ、充実した時間を過ごされている様子がうれしいですね」

 飼養に関する相談にも乗る木村さんの夢は、キジ、ヤマドリ、コジュケイをもっと身近な存在にすること。「ニワトリのように、野鳥も当たり前に育てる世界を実現するため、ノウハウの蓄積と普及に取り組んでいきたい」と語ります。

(取材年月:2026年3月)

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木村良彦

キジ・ヤマドリ・コジュケイを自然交配で養殖する専門家

木村良彦プロ

ヤマドリ、キジ、コジュケイの養殖

日本キジ・ヤマドリ養殖センター

キジ・ヤマドリ・コジュケイ専門の養殖場。約50年で培ったノウハウをもとに食用・愛玩の両ニーズに応え、衛生面に配慮した生体と卵を供給しています。自治体からの放鳥用の養殖依頼にも対応しています。

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