2020年が終わる
日曜日、母は今回、日帰りでの帰宅だった。
言い訳はたくさんある。
・気密性の低いウチの家では、天気予報以上に寒暖差が激しく、施設で快適な室温で過ごしているのとのギャップがこわくて・・・
・施設では品数もたっぷりのソフト食を用意してもらっているけどそれに見合う母用の食事がとても用意できない・・・(入院前までは家族とほぼ同じモノを食べていたから一気にハードルが上がった・・・)
・誤嚥性肺炎を恐れるあまり、どこまでの口腔ケアができたらいいのかワカラナイし怖い・・・
要は、いろんなことに全く自信が無い。
無いなりにも取り組む体力、気力も無い、足りなかったのだ・・・
施設側は、それでも「イイですよ」と言ってくださったので、母とこちらの体調、あれやこれやの事情、気候などを踏まえて、少しずつ慣れていくようにさせてもらうことにした。
で、
母は、お昼前に帰って来た。
玄関で新しい室内用の車いすに乗り替えて、ウチの特等席(陽の当たる窓辺)へGO!
明るい自然光の中で、爪を切った。
伸びて不細工(失礼)になっていたから鼻毛も切った。
耳掃除もした。
老眼鏡を愛用するようになってしまっている娘(ワタシ)には、このおひるまの明るさは、なんと助かることか。
すぐ横では、いつもの三線ライブ(?)も開催されており、なんとものんびりゆったりとした中で、母のあちこちがキレイになっていった。
母は、気持ちよさそうにコックリしだす。
時間に追われないというのがなによりだった。
食事は、難しくは考えないことにした。
時間を気にせず、母がしっかりと目を覚ましている時に、
普段はなかなか食べられない母の好きなモノを食べてもらおうと思った。
今回は、懐かしのいちごのフルーチェと旬のいちじく。
主食にと買ってた“あんドーナツ”はやっぱり無理だった。(←そりゃあかんよな・・・)
9月の入院以来、自然のままの形があるものを食べてはいないので、いちじくも大チャレンジだったのだ。
パックのいちじくを全部剥いてみて、種の粒が一番目立たないのを選んで、小さいカケラをスプーンにのせて口へ・・・
もぐもぐと口を動かした瞬間、母の表情が「お゛~!!!」となった!!!
吹き出しにセリフを入れるとしたら、
「おっ!これは知ってる味」
「なんやったっけ??」
「そうや、あれや!!!」
そこに“いちじく”という名前がつながったかはわからないけど、母にとって、“知ってる懐かしい味で、好きで美味しい”モノを食べたと、表情だけで、そうわかった。
バクバク食べた。ぺろりと1個全部。
ちゃんと噛んで、むせもせず。
嬉しかった!
これだけで、家に帰って来た甲斐があるよな~なんて、調子にのってしまう。
そうこうしている間に、お迎えの車がやってきた。
上着を着せていると、母は一瞬「なんで?」という顔をした・・・ごめんね・・・
前から手をひいて、後ろから私が抱えて、よいよいよい~と云うとちゃんと足を一歩ずつ出して歩く。
家での母の姿を初めて見た?スタッフさんだったので、すごい~とおどろいてはった。
あっさり外用車いすに座って、車に乗って、今回の帰宅はおしまい。
お昼前から夕方までの5時間ほどの帰宅。
今までの土曜の晩のお泊り帰宅と比べると、ほんとに短い時間。
でも、家事雑事、せなあかんことに追われるので、起きている母のそばで過ごす時間としては、こっちのほうが長いぐらいかな・・・
なんて、
自分の都合に合わせた、自己満足の帰宅だという反省と自己嫌悪に陥りつつも、母の笑顔、表情にすくわれている。
なにより、こんな勝手な関わりを受け入れてくれている小規模多機能施設には、ほんとにお世話になっています。
共倒れにならずに、細々でも働きながら、なんとか母との時間をもてていることに感謝しています。
ちょうど新聞に「母さん、ごめん。 50代独身男の介護奮闘記」の紹介が載っていた。
男性による親の介護が増えており、家族に頼りがちな日本の介護システムの課題を浮き彫りにしている・・・とある。
特に息子介護では、問題が起きても自分で解決すべきと思いがちで、ぎりぎりまでSOSを出さず疲弊する人が多く「無口な介護」になりがちだそうだ。
私なんてSOSを出しまくっている。
ここにもなんでも書きまくっているし。
(いいとか悪いとかよりは、性分やね・・・)
でも、どうであっても、
「家族だけでは絶対に無理」なのだ。
そのことを知ってもらう必要が、もっともっとあるのだと、改めて、強くおもう。