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飲み込み

坂部智子

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小規模多機能施設で平日お泊りしている母の調子があまりよくないようだ。
(要介護4、認知症での介護が7年目ぐらい)

7度5分前後の熱が出たりひっこんだりを、もうかれこれ一週間繰り返しているそう。
(先週末、家に帰って来た時は元気だったが)

「食事の時に口を開けなくなって、なかなか呑み込みができない」という連絡があったのは、今月初めごろ。

認知症で、飲み込みができなくなるというのは、かなり重要なターニングポイントなのだ。

ちょうどその頃、友人から、認知症のお母さん(母よりも数年前から発症している)が、とろみをつけた水分も飲みこめなくなった・・・というのをきいた。

一週間ほど点滴での栄養補給などを続けているが、今後どうするかという決断をしないといけない・・・とのことだった。

身体に栄養を入れる方法はいくらでもあるが、口から摂らなくなると、痰の吸引なども必要で、意識があるのかないのか、こちらからの呼びかけに反応はなく、うつらうつらする時間がどんどん増えていく中で、今までこんなにがんばったんやから、最後はこのまま眠るように逝けたら・・・とも思いながら・・・

いやいや、今はただ調子がわるいだけで、もうしばらく点滴を続けていたらまた元気になるのでは・・・それなら、できるだけのことをしたほうがいいのでは・・・

などと、いろんな想いが入り乱れ、家族の葛藤のまっただ中だというのをきいていた。

いつか、こんな日が来るということは、ずいぶん前から覚悟していたし、今年に入って、具体的なコトも言われたりしていたから、覚悟はできているつもりだったという。

でも、それでもやっぱり、この時になって、ホントに、そこの決断を家族が下すという現実に、うちのめされている・・・という。

母の状態と、友人のその話が、いやでも結びついてきてしまう。
母はその後、好きなモノ(お寿司など)の時は、パクパク食べていたそうなので、もちろん状況はちがうのだけれど、この先の話として、今まで以上に現実感が襲ってきたのだ。
で、そうこうしてたら、熱出してるというし・・・

ただの風邪だとか、なんらかの対処法のあるモンだと思いたがっている。

それでも、日頃は見ないふりをしているいろんな心配の種は、やっぱり育っているのだ。


友人のお母さんは、今日がお通夜。
どうぞ、安らかでありますように・・

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