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気持ちは変わる

坂部智子

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風邪は治まってきているけれど、ここんとこの寒さで、弱っちくなってる父である。
昨日、帰ると、いつもにまして、なんだかショボショボしている。
夕方、台所の床で滑って、尻もちをついたらしい。
何にもないとこで、あっと思った時にはもう、床にお尻を打ちつけたそう。
幸い、半纏やらたくさん服を重ねているので、骨は大丈夫みたい。
それでも、家の中で転倒…というのがショックやったよう。
「お母さんじゃあるまいし…」
「まさか自分がこけるなんて…」と言う。
いやいや、あるって〜と慰めても、私に言われるコト自体が、不本意みたい。
気持ちはわからんでもないけれど。


そして、以前はけっこう乗り気で盛り上がっていた家のリフォームだが、「自分がおる間はもうこのままでいい」と言うようになっている。
トイレやお風呂が少しでも快適になればと思うけど、馴染みのままがいいらしい。

ちまたでは、ますます「終活」なるものが流行っているようだが、改めて父を見ていて思った。
元気な時に描く理想と、具合が悪くなってある程度現実味を帯びてきた時と、さらにホントにいざという時になって…では、ヒトは変わるということ。
だから、前もってのプランは、実際にはあんまり役にはたたないし、なまじ早くに準備したために、それに縛られてしまう…ようなことにもなりかねない。

もちろん事務的な事柄については、必要な情報を確認しておくことは大事。
でも、「気持ち」は、変わる。
それが、生きているということだし、それでこそ、リアルな人生なんやと思った。

今日は帰ったら、カレーが出来てた。
久しぶりに食べたかって、つくったんやって。
昨日のショボリンからは復活デス。

状況やいろんなことは変化する。
目の前の父としっかり向き合っていく。
その積み重ねから、何かが受けとれるのじゃないかな…
今はそう思える。




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