2020年が終わる
今日も母が帰ってきている。
さっき、お風呂から上がってきた私が、寝ている母の横で、こそーっと夕刊を探していたら、こっちを向いた母が、いきなり「あんた、なにしよぉの⁈」と、聞き慣れた地声で、言った。
えっ、あっ、ごめんね、起こした⁈
焦って応えてたら、もう次の瞬間には、「おとーさんが…」「ふにゃふにゃ…」と、たどたどしくつぶやいている…
あ〜びっくりした。
帰ってきた時から、今日はけっこう驚かされている。
トイレ行こか〜、一緒に行こね…と、いつものように手を引いたら、「ついてくるん⁈」…地声で。
晩ご飯を、ぱくぱく食べる母のペースが早くて、お皿に取り分けるのが追いつかなくて、ちょっと待ってね…と言いながらやってると、「しょうがないな」… これも地声…
父が、まじまじと顔を見ていた…
ほんの一瞬の出来事。
その瞬間だけ、ふいに何かが晴れ渡ったように、懐かしい母が現れる。
当たり前だった母との会話、その記憶が、蘇る。
この短い言葉が、これほど私に迫るのは、それだけ貴重な、奇跡のような瞬間になっているから。
時々もらえる、ご褒美?魔法?
まだ、そんな時間を一緒に過ごせることが、うれしくて、あれこれ、話しかけてしまう。
やらせ?
狙っていくとあかんのやけどな…
そうこうしている間に、またまた母の寝る時間は、えんえん遅くなるのでした…
目ぇ、ぱっちり…
困った。