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おてんとサマが

坂部智子

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テーマ:ひとりでなっとく


おてんとサマが見てる・・・・と言われると、
くずした足を そっと戻したり、
丸めて捨てた紙くずを拾い直したり・・・

子供心に 祖母が話てくれた“えんまサマ”は怖かったし、
“おてんとサマ”には、ほんとになんでもバレている・・・とおびえて、
小悪事を働く時(せいぜい 忘れ物をごまかしたり、宿題の手抜きをしたり・・・程度でしたが)は、びくびくでした。

いいことは何もしなかったけど、たいした悪事(社会的な範ちゅうでは)もせずに
なんとか暮してこれているのは、
“おてんとサマが見てる”ことが 自然な枷になる、
そういうふうに育ってきたからかなとも思う。
(もっと崇高なレベルではまちがいなく罪まみれだろうけれど)

最近、TVを見ていると 「なんで???」と思うことばかり。
連日の不明高齢者のニュースでも、児童虐待も、戦後65年のあれこれでも
正しいか正しくないか というよりも 
「今出来ることが、なんで今までできてないねん・・」とか
「国」やら、「時代」やら、「くらし」やら
大きいところに話を持って行くから みえなくなることであったり、
なんというか、おてんとサマが どない言うやろか・・・・と思いつつ
ぶちぶち言いながらTVを見ている。

(話が飛ぶけど)
一人を感じるのは こういう時。
今までは 新聞でもTVでも 母といっぱい話をしながら見てた。
その時々の疑問、不満、自分の考え、母の考えのやり取りをしていた。
父はタイムリーにその話ができる場所にはいつもいない。
(早寝であったり、作業中であったり)

「小学生以下は、きれいなお母さんが好きで、
中学生は、料理上手なお母さんが好きで、
高校生以上は、会話ができるお母さんが好き・・・」というのを読んだことがある。

お母さんをそのまま人に変えて、
“会話ができる人”が やっぱり私も一番好きだなあと思う。

わざわざ 出かけて行ってする話ではなく、
でも 身近な 今のこのあれこれを 会話する相手がいたら 幸せだと本当に思う。
自分の考えを持って、人の話も聴いて やりとりを楽しむ。
そこから 改めて広がったり 深めたり 胸の奥深くにしっかり沈んだり。

そんな時間が もう無い。
さびしいのは、こういう時。

それでも 日々の母とのやりとりも やっぱりおてんとサマは見ているから。

わかっている。
自然の枷。
今もちゃんと はめている。

自分のさびしさを自覚するのは、私には キット必要なコト。
ようやくか・・・・ 

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