ラウンドの時緊張をどうほぐすか?

深田洋史

深田洋史

テーマ:100を切りたい方のために

ラウンドの時の緊張をどうほぐすか?

先日、生徒さんから訊かれました。
『先生、ラウンドの時、どうしても緊張してしまうんですよね。どうしたらリラックスしてプレーができますか?』と。
まぁよくある質問なんですが、本当に大切な質問でもあります。
(以下、生は生徒さん。私は私)
私『そうですね。緊張感ってそんなに悪いものですか?』
生『え?そりゃ良くないもの・・・でしょ?』
私『でもね、緊張感がないとだらけてしまいませんか?』
生『あ?・・・そりゃあまぁそうですけど・・・?』
まぁ普通はそう思いますよね(笑)
私『Aさん、その緊張感をほぐそうとしていませんか?』
生『??? え、いや、それを聞きたいんですが?』
私『緊張をほぐそうとするとね、別の筋肉が緊張してしまうんですよ。』
生『別の筋肉が?』
私『はい、緊張している筋肉と、ほぐそうとしてほぐれる筋肉は別物なんです。私は専門家じゃないですから、用語が正しいかどうかは分かりませんが、こういう例えをしてみましょう。』
私は指先で胸を指して言いました。
私『心臓って自分の意志で動かしたり止めたりできないですよね?いわゆる不随意筋です。でも腕や足って自分の意志で動かせる随意筋です。いわば緊張する筋肉は不随意筋で、ほぐそうとする筋肉は随意筋にたいなものなんです。だからほぐそうとして力を抜いた時、ほぐれるのは随意筋であって、本当に緊張している不随意筋はほぐれないんですよ。だから結局二重に緊張させてしまうことになってしまうんですよ。わかります?』
生『はぁ、まぁなんとなく』
私『緊張感やストレスは悪いものじゃないんです。もちろん過度の緊張は良くありませんが、適度な緊張感がないとメリハリのあるプレーができません。』
生徒さん、頷いてはいますがいまいちピンとこないようです。
私『ではその緊張感とどう付き合うか?それが問題ですよね?』
生徒さん、今度は大きく頷いています。
私『緊張していると認めてしまえばいいんですよ(笑)』
生『認めてしまう?』
私『そうです。「いま俺は緊張している」って認めてしまうんです。そうすれば、それ以上の緊張はもたらされなくなりますから。』
生『へぇ!? そんなもんですか?』
私はシミュレーターを用意し、Aさんがすごく苦手としているホールをセットしました。
354ヤードのパー4ですが、左側はずっと池があり、曲げると即ハザードというホールです。
私『さ、打ってみましょうか。』
生『はい? 打つんですか?』
私『そうです。設定を申し上げますね。ここは最終ホールで、今のスコアは16オーバー。このホールをボギーで上がれば、90が切れます。』
Aさん、いままでのベストスコアは90。80台で廻ったことはありません。
みるみる顔に緊張感が走りだしました。
私『ま、シミュレーターです。あまり緊張しないでいきましょう。』
これはわざと言っています。緊張せずに・・・と言うことで先ほどから言っている不随意筋をほぐさせようとしているのです(笑)
結果、ティーショットは引っかけて池の中に沈んでいきました(笑)
生『だめですねぇ。やっぱりこれをやらかしてしまうんですよね。』
私『そうですね、やらかしてしまいましたね。では今度は、『俺は緊張しているんだ!』と自分に言い聞かせてから打ってみてください。』
シミュレーターをセットして、再度ティーインググランドからのショットです。
私『はい、口に出して言ってみてください。』
生『俺は緊張している! 俺は緊張している!』
今度も力は入っていますが、先ほどよりギクシャクした感じが少ないです。
生『お?!』
今度はやや左ながらも、何とかフェアウェイに踏みとどまりました。距離は190ヤードくらいですから、残りは167ヤード(斜めの距離が残ったので、表示より残距離が長くなっています)ですが、左側の池スレスレを打っていかないといけません。
私『セーフでしたね。次も緊張感を肯定してから打ってください。』
Aさん、5番ユーティリティーを抜きました。
私は内心『あっぶねぇなぁ』と思いながらも、まずは打ってもらいました。
案の定、引っかけライナーで池ポチャです。
私『Aさん。なんでUTを持ったんですか?』
生『いや、そりゃ届くクラブを・・・』
そこでAさんハッと気づきました。
生『うわぁ! 忘れてました! ボギーでいいんだから、こんなギャンブルをするんじゃなく、安全に右サイドへ7番アイアンあたりで打っておいてアプローチ勝負するんだった!』
私が以前に言ったことを思い出してくれました。
私『OK。もう一回いってみましょう。ただし、やっぱり「俺は緊張している!」を言ってからですよ。』
結果は130ヤード飛んで右のフェアウェイの端。ただ、この位置からはバンカー越えでもないのでストレスもなく、受けグリーンなので突っ込んでいけます。
残り40ヤードという、彼が最も得意とする距離を残せました。
3打目はピンの下2メートル。もちろんこの時も『俺は緊張している!』とつぶやいてから打ちました(笑)
パーパットは外れたものの、きちんとボギーで上がれました。
私『緊張感を楽しんでください。緊張することやストレスを感じることは悪いことではありません。それといかに上手く付き合うか? どう緊張感を楽しむか?なんですね。』
生『わかります。今、本当に緊張感を肯定することで、それ以上の緊張が無くなってるなと実感しました。』
私『人間関係でもそうじゃないですか。相手を肯定しないと、いい関係は築けないでしょ?』
生『あ!なるほど! 緊張感を嫌うんじゃなく、友達みたいに肯定してやれ・・・ということですね?』
私『そうです。おっしゃる通り。相手を、この場合は自分自身の緊張感を肯定する。それはつまり自分自身を否定しないということにもなります。』
生徒さん、ハッとした表情になりました。
生『そうか。緊張感も自分自身のものなんだから、これを否定してほぐそうとするというのは、ある意味自己否定につながるんだ。』
私『そうです。自己否定の先に、いいショットは生まれないです。』
生『わかりました。ありがとうございました。』



まとめ
緊張感を楽しもう。
そのためには、「いま自分は緊張しいるんだ」ということを肯定してしまいましょう。
そうすれば、それ以上の緊張感がもたらされません。
緊張するのは不随意筋。ほぐそうとするのは随意筋(用語が正しいかどうかは別問題(笑))
否定したい緊張感も自分自身のもの。自己否定の先にいいショットは生まれない。
緊張はメリハリの効いたプレーには不可欠。
リラックスするために、緊張感と友達になりましょう!


いかがでしたか?
お役に立てば幸いです。

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