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木村知子

通常学級での学びをサポートする発達相談&学習支援のプロ

木村知子(きむらともこ) / 子育て&学習支援トレーナー

完全個別学習支援教室 まちるど

コラム

【事例集】子どもの癇癪(かんしゃく)、パニックはこう解決する!

2023年1月19日

テーマ:発達障害児の子育て

コラムカテゴリ:出産・子育て・教育

子育てにおいて最も辛いことの1つが、子どもの癇癪(かんしゃく)、パニックです。これは本当に辛い…。もう親が泣いてしまいます。家で一人きりで子育てしているときはなす術がありません。外で冷たい視線を浴びたときは言いようのない悲しみに包まれます。

子どもの機嫌をひとたび損ねたら、なだめても叱っても、モノで釣ろうと思っても全部だめ。子どもを抱きかかえようとすると暴れて手に負えない。ママもお手上げです。

ママたちから、癇癪、パニックが起きたときはどうすればいいですか?とご質問いただくことが本当に多いです。多くのママたちはどこに地雷があるのか、どうすれば治まるのかわからないと訴えられます。日々びくびくしていて、表情からも疲労がにじみ出ています。

子どもの特性やこだわりはそれぞれ違うため、こうしたら癇癪が治まりますというルールブックのようなものはありません。そのためケース事例で、子どもが癇癪を起こした理由と親御さんにお伝えした対処法をご紹介します。尚、パニックの理由については当事者が大きくなってから当時のことを思い返して教えてくれたケースと私たちの推測の両方のケースがあります。(掲載にあたり保護者さまの承諾を得ていないものは事例を組み合わせるなど改変しています)


【事例1】Yちゃん、小学校低学年:登校前に体がフリーズして動かない

学校に行こうとすると体がフリーズして動かず、手を引っ張っても、体を押しても動かない。車に乗せようとしても暴れて対応できない。玄関で待とうとするけれど1時間待てど動こうとしない。

(フリーズの理由)
学校への不安です。Yちゃんは小さなことにも不安を感じるタイプで、学校の何がイヤということではなく、学校に対して漠然とした不安感を持っていました。フリーズもパニックの一種です(頭の中はパニックになっています)。登校前になると頭の中の考えがまとまらず、体を動かせない、言葉も発せない、ただ泣くのが抵抗の手段だったと考えられます。

(対処法)
体が固まってしまうとどう言葉をかけても体は動かないので、一度このような状態になってしまうと体の硬直が取れるまで待つしかありません。5時間、6時間でも待つというのもありですが、親の時間も限られていますし、1時間経っても事態が動かないときはすっぱりさせたいこと(この場合は登校)を諦めると良いでしょう。その後、本人がクールダウンできるまで待ちます。親がいるとパニックが治まりにくいので、安全が確保できていれば親は離れて見守りましょう。

(ここがポイント!)
ただ、何でも諦めっぱなしというわけにもいきませんので、しんどいことにもトライさせる後押しが必要となります。どうやってその行動を促すのかはまた別のコラムでお伝えしたいと思います。


【事例2】Aくん、小学校低学年:宿題をしようとするとパニックを起こす

夏休み終了間近、宿題ができていないことにパニックを起こし、泣き叫んで、宿題が手につかなくなった。

(パニックの理由)
Aくんは宿題の量が多すぎて終わらせることができないと思い、どうすればいいのかわからなくなった。

(対処法)
パニックを起こしている間は、泣き止むのを待ちます。このとき親が言いたいこと(なんで泣いているの?どうしてほしいの?など)は言わずにグッと我慢します。泣いている間は周囲の言葉は届きにくく、子どもからの応答がないことで親の怒りもエスカレートします。小さな子どもは1時間泣き続ければたいがい泣き止むので、安全が確保できていれば親はその場から離れましょう。(泣き止みかけに話しかけるのは禁物です。パニックをぶり返します。)

Aくんが泣き止んだ後、お母さんはなぜ泣いていたかをAくんに選択方式で聞きました。「難しすぎたのか、量が多すぎたのか」二択です。Aくんは量が多いと訴えたため、お母さんはAくんの宿題スケジュールを分刻みで作りました。そして、スケジュール通りにすれば夏休み中に宿題が終わることをAくんに丁寧に伝えました。Aくんは小刻みに計画を立てられた宿題の分量だと自分もできると思い、そのときはパニックを起こしませんでした。その後はお母さんがつきっきりで、一つ一つの宿題を終わらせていきました。

(ここがポイント!)
小さな子どもは自分の気持ちをうまく表現することができません。「選択方式」&「二択」で子どもの気持ちを確認していきます。


【事例3】Tくん、幼稚園:遊具で楽しく遊んでいたのに、帰ろうとしたらいきなりパニックを起こした


(パニックの理由)
楽しく遊んでいたのに、突然「帰るよ!」と言われビックリした。

(対処法)
パニックを起こしたまま無理やり引きずって帰ろうとすると親も子もしんどいだけです。もう一度遊ばせたら泣き止むのであればもう一度遊ばせましょう。そのときに帰る時間を一緒に決めます。この「一緒に」がポイントです。親が一方的に決めるのではなく、子どもが納得した時間を設定しましょう。子どもが1時間後とか、帰らないなど無理を言う場合は、帰った後に子どもが興味を示すことを1つ用意しておき、そちらに子どもの気持ちを向かせると良いでしょう。(帰ったら動画が見られるよ、家に着いたらお菓子が食べられるよ、など)
遊び始める前にあらかじめ帰る時刻を決め、見通しを立てておくのがベストです。

(ここがポイント!)
子どもの時間感覚は大人のように正確には流れていません。(小さな子どもは時計の概念もありません。)楽しいときは時間の流れは速いですし、嫌なときはとてつもなく遅く感じています。
お母さんは十分遊んだ!と思っていても、子どもにすると全然!ということもよくあります。


【事例4】Sちゃん、小学校低学年:ママの言うこと"は"聞かない

学校の先生の言うことは聞くのにママの言うことは聞かない。泣きわめいたり、暴言を吐いたり、親を無視したり反抗的な態度を取る。

(反抗の理由)
私が「イヤ、できない」と訴えても親は無理やりさせようとする。私の「何で?」という質問には答えてくれない。自分の気持ちを全然わかってくれない。

(対処法)
自分が子どもにさせたいことが本当に必要なことか今一度考えてみましょう。親が良いと思っていること=子どもがしたいこととは限りません。子どもを育てていくことももちろん大切ですが、親自身が自分を育てていくこともとても重要です。子どもへの要求が自分の気持ちの押し付けになっていないか、子どもの欲求を十分に満たしてあげているか、子どものことを理解しようとしているか、子どもから見た自分を想像してみると良いでしょう。子どもは満たされると次のステップへと進みます。子どもの力を信じましょう。


【事例5】Kくん、小学校高学年:嫌いな学習課題を見た瞬間に不機嫌になり、態度が荒れ暴言を吐く。


(荒れる理由)
宿題が難しすぎる

(対処法)
本人は自分と向き合う強さを持たず、宿題が難しすぎるとは言いません。でも、できないのです。ノートをくしゃくしゃにしたり、物を投げつけたり、暴れたりと、とても宿題ができるような状況ではありません。そんなときは一旦宿題をやめさせましょう。学校の先生に家庭での事情を伝え、宿題の内容を変える、負荷を少なくするなど本人の困り感を減らす対応をお願いしましょう。

(ここがポイント!)
学校の先生にお願いをするときは、先生に「〇〇してください」と具体的に伝えることをお勧めします。どうすればいいですか?と相談するとうやむやになって、事態が前に進まないことがあります。また、子どもが自分だけ違う宿題をすることに抵抗感を持つときは、ごまかすのではなく、丁寧に真摯にその理由を説明してあげてください。

ぐずる

パニックはなぜ起こる?

これら癇癪、パニックが起こる背景にあるのは「言葉の力」「感情のラベリング」の弱さです。言葉でうまく自分の気持ちを伝えることができず、そのいら立ちが癇癪となって現れます。子どもは1時間ぐらい大声で泣くと、泣きつかれて泣き止むことが多いので、それ以上続くときは周囲の人が状態を悪化させていることも考えられます。


以下は、子どもがパニックを起こしたときに最低限取れる対処法です。これだけでは解決しませんが、パニックが少しでも早く治まる可能性があります。やったことがないという方はぜひ一度トライしてみてくださいね。

パニックが起きたときは、
①保護者はその場から離れる
②クールダウンの場所に逃げ込む
③パニックを起こしている間は話しかけない
④道徳観より損得感の話をする

①保護者はその場から離れる
特に母親が側にいると泣き止まず、要求がエスカレートすることがあります。安全を確保して、できることであればその場から離れましょう。

②クールダウンの場所に逃げ込む
子どもが逃げ込める隔離されたクールダウンスペースを作りましょう。パニックが起きたら子ども自らその場所に行くようにトレーニングできれば最高ですが、最初のうちはうまくいかないことも多いので、親がその場所に逃げ込むのも良いと思います。療育に通っている場合は、クールダウンのトレーニングを受けると良いでしょう。

③パニックを起こしている間は話しかけない
パニックを起こしているときに、「どうしたの?」「なぜ泣いているの?」「いい加減にして!」とついつい怒鳴りたくなります。親が怒るとむしろ火に油を注ぐことになるので、一度パニックが始まったら、「しんどかったんだね」「よく頑張ったね」「何も怖いことは起きないよ」「大丈夫」など、子どもに共感の声をかけるようにしましょう。また、安全を確保してその場から離れ、声掛けを一切しないのもとても有効です。

④道徳観より損得感の話をする
ことの良し悪しではなく、損得で物事を伝えるとうまく行くことがあります。暴れだしたら「警察に電話する(このとき、"これ以上暴れたら警察に電話しないといけなくなる"と言うと良いです)」、わめきだしたら「全部学校の先生に話す」など自分自身が不利益、損を被る話をするとヒートアップが冷めることがあります。権威のある人の話は聞く傾向があるので、直接先生から指導してもうのも効果があります。(医師からの話も効果があります)

子どものパニックは親を心身ともに疲弊させます。家で困っている方は困りごとを放置せず、学校園の先生、行政機関、支援機関を頼ってほしいと思います。
まちるどは学習支援をメインにサポートを行っていますが、子どもの困りごとの全てをお引き受けしています。どこにも相談する場所がないという方はぜひ一度お問い合わせください。

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