60 手形・小切手とコスト交渉
売上げ一兆円に到達
売上げ3500億円のときに1兆円を想定した協議が始まったのはもうずいぶん前のこと。
先期実績を知ったとき私は「計画通りだね」で全く驚きませんでした。
本当のところいくらもらってんの?
現実を見せつけられるのは嫌ですが、他人事を詮索するってとても楽しいです。
本コラムで一番訴えたいのは、「外から入ってくる情報をそのまま信用せず、必ず自分で検証する習慣を身につけましょう」です。
いまここで私がいくら稼いでいたかは言いづらいので、おしゃべりな現役組のリークを待つことにしましょう。彼らは期待を裏切りません。
先日決算発表がありました。
経営指標に詳しい方はIRから概算できますが、野次馬的に平均年収に興味を持たれた方に向けてざっくり計算してみます。
「ざっくり」なので、こんな感じで荒っぽく数字を丸めます。
売上高 1兆円
利益率 52%
社員数 1万人
これだけでおおよその平均年収が分かります。
原材料費
ではスタートします。
4800億円が社外に流出(支払い)したことがわかります。
ここに①給与、②原材料費、③それ以外 が含まれます。
商品の内訳をこれまた荒っぽく(部品代+外注組立費)だけとします。
もし平均原価率が10%なら1000億円、20%なら2000億円、、、という具合に原材料費を把握できます。
ここで③を「0円」とすれば原価率10%で平均年収は3800万円、20%で2800万、30%で1800万円になります。
平均原価率40%なら平均給与は800万円以下になるのでこれはないでしょう。
次に製造、調達、開発に携わっている方々にお訊ねします。
みなさんの会社ならキーエンスの製品を購入金額の何%くらいで製造できますか?
10%、20%? それとも30%ならできそうですか。
幸いこの平均年収の計算では原価率が1%上がるごとに平均年収が100万円ずつ減ることになっていてわかりやすいです。
この検討でだいぶ範囲が狭まってきました。
経費
国によって税制は違いますが、従業員を雇用するだけでサラリーとは別に会社負担の費用が発生するのはどこの国も同じです。
※「雇用一人にかかる経費」でググってみてください。
日本ではサラリーに対して別に最低20%の会社負担があると表示します。
これでまた「÷1.2」になりました。
会社を運営すると一定の固定費が発生します。
家賃、ガソリン代、光熱費。
これは海外も同様です。
さらに営業スタイルは日本と同じく全世界で直販です。
利用する自動車の台数も半端ありませんし、ガソリン代も多いです。
一時期アメリカに駐在していましたが、次のお客様まで120㎞なんてこともざらです。
そして皆さんもご承知の通り毎年大量の新製品がリリースしています。
大小さまざまですが、成形品金型1つとってもその代金は10万、20万ではすみません。
モノづくりには様々な経費がかさみ、研究開発費、金型など固定資産、挙げればキリがありません。
メディア情報はいつも話を盛りすぎ
原価率の予測と経費の両面から削っていくと、メディアが言うほどじゃないことがなんとなく分かってきます。
全体的に高給であることは間違いありませんし、中には抜きんでてたくさんもらっている人もいるでしょう。
その分評価も厳しく、その地位に居続ける人はほぼ皆無です。
一夜の夢といったところでしょうか。
でもいえることが1つあります。
「支払えるだけの十分な利益」
これに尽きます。
年収2000万でマネジャー求人とかたまに見ますが、前提として支払えるだけの利益がないと何もできません。
次に支払いを決める人たちが支払うする気にならないと始まりません。
売上げもサラリーも羨むだけではアップしません。
みなさん全社一丸となって「変わろう」、「変えてみよう」と本気で考え、動いてみませんか。



