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60 手形・小切手とコスト交渉

清水正樹

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テーマ:企業考察

手形と小切手の終了

いよいよ26年度末で『手形・小切手』が終わります。
厳密には「紙」から「電子決済システム」へ移行するだけですが、内容はかなり現金決済に近づきました。

数ある注目ポイントの中でも私が一番”おーーっ”と唸ったのは【支払サイトの短縮要請】を盛り込んだ点です。

みなさんもこの機会に「手形 and 廃止」で検索されてみてはいかがでしょうか。


売り手にとって事業継続のための資金確保は一番重要です。
絶対にショートさせるわけには行けません。
事業規模が大きい企業(支払う側)とはこの大変さがかなり違うので、この点はとても良かったと思います。

やがて支払条件は海外標準に近づく

訪問先で初めて見た手形は数社が裏書きした廻し手形で、まるでババ抜きやなぁと面喰ったことがあります。
また当時見た一番えげつない支払条件は「末〆翌末起算の270日後払い」でした。
現金化されるのってほぼ一年後だよね、と思うとさすがにこれは酷いなあと思いました。

いま思えばそんな支払サイトがさほど大きな問題にならないのんびりした時代がありました。
それがいまでは海外企業ともどもサプライチェーンに組み込まれ、それら海外企業と競争する時代になっています。
従って決済も世界標準にならざるを得ません。
買い手は「魅力ある取引先」であり続けないと売り手から見放されますからこの点も注意が必要です。

支払条件の一本化はコスト交渉が目的

キーエンスは取引したい魅力ある企業だと評価されます。
その理由の1つに支払方法があることは間違いありません。

最初は手形でしたが、支払条件が価格交渉に使えることに気付いてから新規仕入先は全て「20日〆翌末現金上限なし」に切り替えました。
そしてある部署が手形の廃止&現金払いへ一本化を提起します。

手形の仕入れ先に通知すると、取引先からコスト協力の話が出ました。
このとき私は決済方法変更が持つ意味合いを十分理解しおらず、ベストでもらったハズの価格にサイト分の金利がしっかり上乗せされていたことを初めて知りました。

みな気前いいなあと思っていましたが、提案部署はそこまできちんと見越して収支計算していたとだいぶ経ってから教えてもらいさらに無知を思い知らされました。

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清水正樹
専門家

清水正樹(調達・購買のコンサルティング)

株式会社ロアゾー・ブラウ

基板から最終梱包まで、特に加工品に精通しており複数の仕入れ先を使ってコストダウンに貢献します。加工内容によっては日系海外工場を利用します。国内外企業との取引先は20年を越えています。

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