自分の行動は自利利他に照らしてみれば
8.相手の立場になって初めて分かることがある
その職場にはA係とB係がありました。
A係は主に施設の新設を担当する係で、B係は主にその施設の保
守、すなわちメンテナンスをする係でした。
あるとき、A係の担当者XとB係の担当者Yが新たに作った設備
のことで、口論を始めました。
担当者Yは
「A係の作った設備は、メンテナンスのことを考えていない。自分
たちの理想だけで施設を作っている」
といい
一方、担当者Xは
「B係は会社の予算、世間の技術動向が分かっていない。自分た
ちが楽をすることばかり考えている」
といいました。
そこで、上司は、数ヵ月後にこの二人の係を交換する人事異動を実行しました。
半年後、担当者Xも担当者Yも、相手の係の批判を一切しなくなりま
した。
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相手の立場になって初めて分かることがある
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人は、意識しておかないと自分のことを中心に物事を考えてしま
います。
生物ですから、生きていくうえにはあたりまえのことですが、生
命に危険のないときでも、つい自分の立場や経験だけから物事を
考えてしまう弱さがあります。
よほど精神的に成長している人でないと、相手の立場を常に考え
ることはできないのではないでしょうか。
私には、できません。
しかし、自分が実際に相手の立場になってみると、確実に「あの
とき、あいつはこんな状況にいたのか」と理解できるのです。
ですから、「相手の立場になって初めて分かることがある」と
いうことだけでも、理解していれば、少しは人間関係が円滑にな
ると思います。