令和7年明けましておめでとうございます。
男が、妻に用事があってリビングをのぞくと、その妻は友達と電話で楽しそうに話をしていた。
男は、すぐ終わるだろうと思ってそばで待っていたが、なかなか電話が終わる気配がない。
そのうちに、男は自分の胸のあたりにイライラを感じた。
そして
「人が待っているのにええかげんにせいよ」
と腹がたってきた。
やがて妻の電話が終わり、男は妻に用件を話した。
ついでに
「長い電話やったな。イライラしたわ」
といやみをいった。
いかにも妻が男に迷惑をかけたようないい方で。
すると、妻は男にこういった。
「私はイライラしてないよ。あんたが勝手にイライラしたんや」
妻にイライラする理由はなかった。
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他人はコントールできないが、自分はコントールできる
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よく
「あいつは俺の言うことをきいてくれない」
と嘆く人がいます。
でも、自分がその気にならないのに、相手の言うことをきくことがあるのでしょうか。
相手と立場を置き換えて考えると、自分の意思なくして行動することはないことが分かります。催眠術にでもかかっていれば別ですが。
それでも
「いや、あいつはいつも俺の言うことをきくじゃないか。」
とおっしゃる人もいます。
「いや、待てよ。それは、相手が俺のいうことを理解して自分で納得した結果かも知れない。」
初老の男が、煙を吐き出しながら、また独り言をいった。
「そうだな。相手は自分の意思で行動した。催眠術にでもかけない限り、他人をコントロールすることはできない。これはまぎれもない真実だ。ところが、他人をコントロールできると錯覚する。そこで、不満がでてくる。」
若い男は思った。
「自分でコントロールできるものはないのか。」
ショートホープを自分の靴底で揉み消しながら、初老の男がまた独り言をいった。
「自分のことは間違いなくコントロールできる。唯一コントールできるのは自分だけだ。」
相手のことを嘆く前に自分をコントロールする訓練をしよう。