既存外壁の種類と状態によって下地処理と下塗りが変わってきます
今回は外構の擁壁や塀の塗装について書きたいと思います。
住宅地を歩いていて外構の塗装がめくれて汚くなっているのを見たことはないでしょうか?あまり塗装しないほうが良い所を塗装した場合や、そこに向かない塗料を使用して塗った場合などに、塗装後数年して塗膜がめくれてしまうことがあります。そういったケースで今回手間をかけて直した事例が出来たので少し紹介したいと思います。
以前、塀を塗り替えてもらったのだが塗り替えた塗装がめくれてきた。直したいのだが見てもらえないか?というお問い合わせをいただきました。
擁壁は基本的には塗装しないほうがいいです。湿気や水がしみ出てくるので、年数が経つと塗膜が浮くまたはめくれることが多いですよ。現場を見ないとはっきりは言えませんが、いったん旧塗膜を剥離しないとその上に塗ってもおそらくめくれますね。と答えました。
2か月ほどしてそのお客さんから連絡いただき、やはり塗り直したいから、見に来てほしいと言われました。
現場を見に行くと、元々ガレージ土間より下になる擁壁にその上の塀と同様のボンタイルが吹き付けてありました。さらに塗り替えでその上に単層弾性塗料を厚塗りしてありました。地上に出ている塀は何ともないのですが、擁壁の塗膜は、塗り替え前にも多少のメクレはあったのでしょうが、水も湿気も全く通さない単層弾性塗料を厚塗りしたためにさらにめくれてきていました。
お客様に現在の状態は地中に浸みた水分が擁壁から水蒸気になって出てきて塗膜を浮かせています。ですから、既存塗膜を除去しないとこの上に塗装しても再度すぐにめくれますと説明し、納得していただけたので塗膜の除去作業から始めました。
1日目の作業で剥離剤(リムーバー)を使用し、単層弾性の下のボンタイルの吹き付けまですべて除去し、そのあとカチオンフィーラーという樹脂モルタルで下塗りし不陸を直しました。
2日目の作業で今度は骨材抜きのカチオンフィラーでしごき、素地をこしらえ、乾燥後にシーラーを下塗りしました。
3日目の作業で透湿性のある基礎用のシリコン塗料で2回上塗りし、ようやく仕上がりました。
反対側が土や地中になっている擁壁を塗るときには、極力薄塗りでしかも透湿性のある塗料を使用しないと塗膜の剥離は防げません。
まためくれてしまった擁壁を直す時にはそれなりの手間と費用が掛かることを理解しておいてください。
塗る側の塗装業者としては、基礎や擁壁を塗る場合塗膜がめくれてくるといったリスクがあることをしっかりと説明したいですね。