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平山裕康プロは神戸新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

日本とヨーロッパ諸国の外国人受け入れは、そもそも異質のもの(第1回/全3回)

平山裕康

平山裕康

テーマ:多文化共生

私はこれまで多くの外国人留学生や外国人材の受け入れに関わってきました。その中で強く感じるのは、日本とヨーロッパ諸国の外国人受け入れは、同じ言葉で語られがちですが、制度の前提そのものが大きく異なるという点です。

日本における外国人受け入れを巡る議論では、ヨーロッパ諸国の事例が頻繁に引用されます。「ヨーロッパは移民受け入れに失敗した」「多文化共生は可能だ」といった評価が交錯しますが、そもそも同じ土俵で比較することは妥当なのでしょうか。
結論から申し上げると、日本とヨーロッパ諸国の外国人受け入れは、制度の前提も、社会が想定しているゴールも、根本的に異なります。

ヨーロッパ諸国の多くは、歴史的に移民を前提とした国家運営を行ってきました。植民地時代の人的移動、戦後復興期の労働移民、難民条約に基づく庇護制度などを通じ、国籍や宗教、文化の多様性を社会の一部として組み込んできた経緯があります。
そのため、外国人を「どう定住させ、どう社会に統合するか」が政策の中心課題となっています。

一方で、日本は長らく「移民政策は取らない」との立場を明確にしてきた非移民国家です。近年、外国人労働者や留学生は増加していますが、その多くは一時的な就労や就学を前提としています。家族帯同や永住は限定的で、制度の主目的は人口構成の転換ではなく、労働力不足への対応にあります。

この違いは、外国人受け入れを巡る議論の前提そのものを左右します。
ヨーロッパでは、社会が変わることを前提に人を受け入れています。日本では、社会の枠組みを維持したまま、必要な人手を補完的に受け入れようとしています。同じ言葉を使っていても、指している中身はまったく異なるのです。

それにもかかわらず、日本ではヨーロッパの成功例や失敗例が、そのまま当てはめられることがあります。しかし、定住を前提とした移民政策と、期間限定の就労制度を同列に論じれば、議論がかみ合わないのは当然でしょう。

重要なのは、他国と同じモデルを採用するかどうかではありません。日本社会の前提条件を正確に理解したうえで、どのような形で外国人と関わっていくのかを冷静に考えることです。

外国人受け入れを巡る議論は、数や制度の話にとどまりません。それは、日本がどのような社会であり続けたいのかを問う、根本的なテーマなのです。

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