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平山裕康プロは神戸新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

「日本人を大切にする」という言葉の、その先へ

平山裕康

平山裕康

テーマ:多文化共生

「日本人を大切にしたい」という思いを、私は否定しません。
経済格差や地方の疲弊、社会のひずみを見れば、まず自国民の暮らしを立て直すことは当然の政策課題です。
ただ、その“優しさ”が、いつの間にか誰かを押しのける力に変わってしまうことがある――そこに私は小さな違和感を覚えます。
私の周りには、日本で学び、働き、地域の一員として共に暮らす外国の仲間がいます。
彼らを知れば知るほど、「日本を大切にすること」と「共に生きること」は、決して矛盾しないのだと感じるのです。

最近、「日本人ファースト」という言葉を耳にする機会が増えました。
その背景には、将来への不安や、社会全体の閉塞感があるのかもしれません。
けれども、その言葉が時に“排除の象徴”のように使われることには、やはり心が痛みます。
私が日々出会う外国人の多くは、真面目に学び、働き、日本社会の一員として誇りを持って生きています。
彼らの存在は、地域や企業、そして日本そのものを支える大切な力になっています。

もちろん、外国人を受け入れるうえで法を守ることは絶対の前提です。
オーバーステイや不法就労などの法令違反には、厳正な対応が必要です。
それは排除のためではなく、真面目に暮らす多くの人々を守るため。
秩序があるからこそ、安心して共に生きる社会が成り立ちます。

本当に強い社会とは、誰かを排除して得られる安心ではなく、
違いを受け入れても崩れない信頼を持つ社会のことだと思います。
外国人だから、日本人だから、という線を引くのではなく、
同じ街で働き、同じ空の下で笑い合う人たちを、自然に「仲間」と呼べる国でありたい。

守るという言葉は、“閉じる”ことではなく“支える”ことであってほしい。
支え合う輪の中に国籍の線を引かない――
そんな優しさこそ、これからの日本の力になると信じています。

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