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声楽家などの声帯のトラブルに、声楽に精通した医師が治療と並行して発声法をアドバイス

声帯治療と発声法アドバイスのプロ

藤木暢也

「耳鼻咽喉科 藤木クリニック」の藤木暢也さん
治療に「喉頭ストロボスコープ」を導入

#chapter1

医学的側面から分析・研究した発声法などで細やかにサポート

 JR摂津本山駅を南側に出て歩いてすぐのところにある「耳鼻咽喉科 藤木クリニック」はグリーンの建物が目印。院長の藤木暢也さんが、「遠方から訪れる患者さんのためにも、アクセスの便利なところで」と選んだ場所です。「多くの人たちの治療に迅速かつ丁寧に対応できるように」と、20余年におよぶ勤務医生活を終え、2012年4月に独立開業しました。
 藤木さんは、音声言語医学の中でも特にクラシック声楽発声法の研究と音声障害治療に精通。「声が出にくい」「かすれる」「ある一定の音程が出ない」「低音から高音への跳躍がうまくいかない」など、声帯の使い過ぎや使い方による問題から生じる炎症や結節など、発声にまつわる治療に取り組んでいます。
 「診察を受けると、『喉の安静を保つことが一番』と言われることがほとんどでしょう。でも、声楽家をはじめ声を使うお仕事をされているみなさんは、それがどのくらいの期間なのか、練習はできないのかなど、焦りや不安を覚えることでしょう。それらの悩みを取り除くことが私の役割。声帯への負担をやわらげ、治療中にも無理なくできる発声方法について指導しています」
 藤木さんは、中学生の頃から合唱部に所属。大学に入ってからは、オペラ(歌劇)のコーラスに参加するなど、自身もテノールとして声楽のレッスンや発声のトレーニングを受けてきました。現在は、日本音楽教育振興協会や日本声楽発声学会関西支部の理事を務め、声楽に造詣が深い藤木さん。医学的な見地と合わせ、声楽の専門家と意見交換をしながら、患者の立場に立ち、症状に応じたボイストレーニングのアドバイスを行っています。

#chapter2

音声障害の原因を見極めるために、「喉頭ストロボスコープ」を導入

 喉や耳、鼻の状態を見極め、適切な診断と高度な医療の提供を志す藤木さん。「声は、声帯が1秒間に100数十回震えることによって生まれます。繊細でありながらも、とても運動量の多い部分。歌う場合は振動が5倍~10倍にまで増えるので、疲労も著しいものになります」
 クリニックでは、通常のファイバースコープ以上に詳細な観察ができる「喉頭ストロボスコープ」を導入して、音声障害の原因を調べています。この検査機器は大学病院などにあるもので、一般の診療所で備えているのは比較的珍しいとか。

 「手や足にケガをすると患部が硬くなることがあるでしょう? デリケートな声帯にも、同じようなことが起こります。傷ができるとその部分が硬化して声が出しにくくなるほか、声質にも影響してきます。ところが歌手や声楽家といったプロのみなさんは発声訓練をしているので、結節やポリープができていてもカバーしながら歌えてしまうんです。受診されて初めて、自覚する方もいらっしゃいます。歌い手にとって声帯は大切な楽器。定期的なメンテナンスが必要です。歌声は生身の体から奏でられるので、何かトラブルがあると、それがストレスの根源となり心理的なダメージにつながることもあります。ご自身の声帯の状態を把握して、健康維持に努めましょう」とやさしく語りかけます。

声帯治療と並行して発声法についてもサポート

#chapter3

カラオケやクラブ活動など、大人にも子どもにも起こりうる声帯の不調

 アナウンサーや教師、僧侶、販売員など、さまざまな職業の人にも注意を促す藤木さん。クラブ活動で掛け声を出す機会の多い子どもも、気づかない間に声帯を傷めているケースもあると言います。
 「喉の奥にあり、自分では実状をつかみきれないので、なかなか異変を察知しにくいと思います。少しでも違和感がある場合はまず受診を。早め早めの手当てが肝心です。これは、どんな病気にも共通して言えることですね」

 上記以外の職に就いていても「カラオケが好き」「バンドでボーカルをしている」など、どんな人にでも起こりうる声帯の不調。「成人であればお酒を飲んで、声を張り上げるといった状況もあり得ますよね。飲酒を伴うと喉が乾燥します。傷ついた部分が悪化し、症状が進むこともあります。また風邪をひいて声が嗄(か)れることはありますが、1~2週間を過ぎても調子がおかしいようであれば、声帯の異常を考えてもいいでしょう。セルフケアとしては、長時間のおしゃべりや大声、強い発声を控えるようにしてください」
 ザラついた話し声、息漏れ、言葉に力が入っていない、あるいは力が入り過ぎることによるかすれなど、藤木さんは長年の経験と知識から、声を聞いただけでもある程度の症状が推測できるプロフェッショナル。
 「声は限りある資源だということを忘れずに、日頃からいたわって生活してください」と話してくれました。

(2012年6月 現在)

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藤木暢也

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藤木暢也プロ

耳鼻咽喉科医

耳鼻咽喉科 藤木クリニック

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