“中古住宅でも新築のような瑕疵のない家を” 後編
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安心R住宅」普及のカギとなるのは、ユーザーの理解促進
中山:求めやすい価格帯の物件を扱うことを意識されていますが、住宅に関しては「安かろう悪かろう」というイメージがどうしてもつきまとう側面もあるかと思います。そこに「安心R住宅」という仕組みはどのぐらい役に立っているものなんでしょうか?
武本氏: いや、まだ「安心R住宅」の認知度が、私どもが求めるものよりも低いのが現状です。とにかくお客さまに住宅についての知識をつけてもらえるようにならないといけないと思っています。 賢いお客さまは私たちが取り扱っている物件の良さがわかるんです。ですから賢いユーザーが増えて、安心R住宅の効果が高まるというのが希望です。
中山氏: 我々LIFULL HOME'Sも、そして私の仕事としてもユーザーさんに住宅への理解を深めてもらおうと努めておりますが、ユーザーは買うときや借りるときには知識を勉強するものの、買った後はどうしても関心が薄れてしまうことが課題だと感じています。どうやったらユーザーを賢くできるか、お考えはございますか?
武本氏: インターネットで最小限チェックしてほしいポイントなどの情報をもっと流してもらいたいです。 それと、実際に中古住宅を買ったお客さまがどんな住まい方をしているのかを見ていただけると良いと思います。弊社で扱っている物件のように安心R住宅の認定を受けていて、しかもアフターメンテナンスまで責任を持ってやりますという会社だと安心ですが、仲介で買った物件は家に何かあっても自分で直さないといけないですから。
中山氏: 物件の良しあしを見抜く方法について、何かお考えはありますか?
武本氏: それは中古住宅の場合は「安心R住宅」のマークがついているか、そして瑕疵保険に入っているかどうかがいちばんわかりやすいですね。
増える相続空き家の相談も"リフレッシュ"していく
中山氏:今は買取再販に注力されているかと思いますが、今後事業として新たに手がけていかれたいと思うようなことはありますか?
武本氏:間違いなく何とかしなければいけないのは、相続した空き家の問題です。毎日のように相続人の方から「もういくらでもいいから買い取ってくれ」という話がくるんです。弊社としては、そうした相続空き家を買い取ってリフォームして売るようなことができたらと考えています。空き家になってしまうとかなり傷んでしまいますし、そうした空き家がどんどん増えているので、弊社の強みである瑕疵のない住宅へのリフォームのノウハウを活かし、うまくビジネスに結びつけられるような道を考えれば、市場が広がっていくと思います。
中山氏: 社会貢献もできますし、一石二鳥のお話ですね。 何かそこには具体策などのお考えはお持ちだったりするんですか?
武本氏:先ほど申し上げた通り、手残りはなくてもいいというお客さんが多いんですよ。固定資産税を払い続けるなら、早く手放したいんでしょう。 こういう方の物件でも、家自体は古くても立地の良い物件が案外あるんです。ですから、これを買い取って、解体して更地にして、住宅地としてまた再利用するということは考えられると思います。
中山氏 :それも考え方としてはリフレッシュ住宅の一つですよね。
武本社長がお好きだという写実絵画の鑑賞を通じて審美眼を養われていることも、アートランドのリフレッシュ住宅の品質向上に一役買っているように感じました。今後中古市場が広がっていくなかで、LIFULL HOME'Sでもさらに積極的に安心R住宅や省エネ性能など、質の良い住宅の普及をしていければと思います。
本日はありがとうございました。
掲載サイト 掲載サイト LIFULL HOME’S PRESS
取材・インタビュー
《中山 登志朗氏 プロフィール》
LIFULL HOME'S 総研 副所長 兼 チーフアナリスト
出版社を経て、1998年よりシンクタンクにて不動産マーケット分析、知見提供業務を担当。不動産市況分析の専門家としてテレビ、新聞、雑誌、ウェブサイトなどメディアへのコメント提供、寄稿、出演を行うほか、年間数多くの不動産市況セミナーで講演。201中山 登志朗4年9月にHOME'S総研(現:LIFULL HOME'S総研)副所長に就任。国土交通省、経済産業省、東京都ほかの審議会委員などを歴任。(一社)安心ストック住宅推進協会理事。



