中古住宅売買取引成立後に起こるトラブル事例
不動産の売却に際し「買取」を選択したほうがよい場合があります。どのような物件、どんな条件の物件が該当するかご紹介しましょう。
築年数と家の価値について
不動産会社に仲介をお願いして不動産を売却するより、「買い取ってもらった方がいい」物件としてあげられるのは、築年数の経った古い家です。
一般的に木造の建物は、20~25年で価値がなくなると考えられています。もちろん、「築20年以上の家には住むことができない」というわけではありません。家の価値をはかる査定では、そうした計算になるということです。
住まいは、土地の上に建物がありセットになっていることがほとんどです。土地はその価値があまり変化しないのに対し、家のほうは築年数で大きく変化するのです。
築30年の土地付き戸建て住宅が、価格1200万円で売りに出されていたとしましょう。
さて、同じ地域、同じ平米数の土地を検索してみると、ほぼ同じ金額で売り出されている、ということもあります。
築年数が25年、30年と経った家は「買取」を考えた方がいい物件と言えます。
「家はまだきれいだから、その部分を補修して売りに出す」という考え方もあるとおもいますが、その費用は多額になる可能性があります。
また、家の購入を考える方は、建物の築年数とともに水道などの給水管、トイレ・バスの排水管など住宅設備についても関心を持ちます。こうしたところまで補修を行おうとすれば、多額の費用がかかります。
そのうえ、住宅設備等の補修を行ったとしても築年数の表示は変わりませんから、「仲介」で売却しようとしても買い手がつくかどうか不安が残ります。
古い家には売主が気づかなかった瑕疵がある場合も
また、古い家には、住んでいる方は気づかない瑕疵がどこかしらあるものです。
たとえば雨漏りです。「一度も雨漏りはなかった」と売主の方はおもっていた。事実、天井から雨のしずくが落ちてきたことはなかった。
しかし、その物件の買主から「雨漏りがする」と苦情が入り、よく調べてみたところ、外壁から雨水が侵入していたというケースもあります。外壁からの雨漏りは気づきにくいものなのです。
「仲介」によって売却した物件で、こうした不具合が見つかった際には、売主が費用を出し修理しなければならない「瑕疵担保責任」は残ります。
「買取」の場合、「瑕疵担保責任」は物件を買い取った不動産会社に移りますから、売主の方が万一の不具合に悩まされる心配はありません。
さまざまな事情
「仲介」による売却より「買取」が適している。その理由として、これまでお話ししたような「物件」に関するもの以外に、さまざまな「事情」というものもあります。
「買取」のメリットは、早期に売却でき、売却金もすぐ支払ってもらえる点にあります。ですから、さしせまった事情があって、まとまったお金がすぐ必要という場合には、時間のかかる「仲介」より「買取」のほうが適しています。
親から相続した家を処分するという場合も、「買取」を選択肢の一つに入れておいていいでしょう。
遺産相続はデリケートな問題をはらんでいます。
たとえば「相続した土地と家を処分して、その売却金を兄弟で等分する」という取り決めをしたとしても、「仲介」による売却が長引くと、「売却はやめて賃貸にしよう」「土地を駐車場にしてはどう?」「早くお金がほしいから、その分を立て替えてくれないか」等々、さまざまな意見が出て、相続が「争続」になるということも考えられるからです。
また、家を売るということは合法的な行為ですから、ことさら隠す必要はないものです。しかし、あまり他人に知られたくない、ということもあります。
ごく親しい親戚や友人には家の売却を知らせてあっても、近所の人には知られたくない、という要望は案外多いものです。
自分の家の売却について、他人にあれこれ詮索されるのは気分のいいものではないでしょう。
そうした場合、「買取」が適しています。不動産会社との直接取引ですから、他人に知られることなく売却することができます。