不動産の売却方法、買取と仲介の違いとは
不動産の「買取」による売却には多くのメリットがあります。そのメリットの数々、そして、デメリットについても見ていくことにしましょう。
不動産を買取依頼する場合のメリットについて
はじめに「買取」してもらうことにメリットです。
■売却までの期間が短い
「買取」によるメリットで大きいのは、短期間で不動産を売却できることです。
「仲介」による売却が一般的に3カ月程度と言われているのに対し、「買取」は数日から数週間で売却できる可能性があり、売却代金もすぐ手にすることができます。
■資金計画が立てやすい
短期間で不動産を売却することができ、売却代金もすぐ手にすることができる「買取」は、資金計画がたてやすいというメリットがあります。
現在の住まいを売った代金を資金の一部にして新しい家を購入したい、という場合、「買取」であれば「これこれのお金が何月何日に入る」と明確ですから、新たにローンを組む際のマネープランが立てやすくなります。
■瑕疵担保責任を負わなくてもよい
「瑕疵担保責任」とは家の売却後、1年以内に不具合や欠陥が見つかった場合、売主が費用を払って修理する責任がある、というものです。
この「瑕疵担保責任」は売り手にとっては難しい問題です。と言うのも、この「瑕疵」というのは、普通に注意した程度では見つからない欠陥を指すからです。
たとえばごく普通に住んでいたのに「売却後、床下にシロアリが見つかった」という場合、売主はそのことに気づいていなくとも責任をもって修理する義務があるのです。
そうした心配がないのは「買取」の大きなメリットです。
■他人に知られずに売却できる
不動産を売却する理由はさまざまあるとおもいますが、なかにはあまり他人に知られたくない、ということもあります。
たとえば、相続した実家を売却したい、しかし、近隣の人たちにそのことは知られたくない、というケースもあるでしょう。
「買取」による売却は、売却したいあなたと不動産会社との直接取引ですから、他人に知られることなく売却することができます。
■仲介手数料がかからない
「買取」は、不動産会社との直接取引ですから「仲介」にある仲介手数料は発生しません。
仲介手数料は、その上限を「成約価格☓3%+6万円(税別)」の計算式で算出します。
たとえば、900万円で物件を売却した場合、「900万円×3%+6万円=33万円(税別)」となります。「買取」にはこの手数料がありません。
不動産を買取してもらったときのデメリットは?
次に不動産「買取」のデメリットを見てみましょう。
「買取」のデメリットは、価格です。仲介による売却にくらべ売却額が低いというのがデメリットです。一般的に「買取」の場合、市場価格の60~70%と言われています。
しかし、「それなら仲介にしよう」というのは結論を急ぎすぎかもしれません。物事には常にメリットとデメリットがあります。その双方を検討し、どちらが自分たちの希望に適しているかを考えてみることが大切です。
たとえば「買取価格が低い」というデメリットと「売却までの期間が短い」というメリットを比べてみましょう。
仲介による売却は、先ほどもご説明したように売却まで一般的に3ヵ月程度はかかります。
しかし、これは「3ヵ月経てば売却できる」ということではありません。物件によっては半年、1年かかることもあります。そして、いつまでも売れない物件は値下げせざる得ないことになります。
「市場価格に近い金額で売却できる」、これが「仲介」による売却のメリットですが、値下げによってこのメリットは減ってしまいます。
また、先ほど買取のメリットとしてご説明した「瑕疵担保責任」ですが、不動産会社の仲介によって売却した物件でも、この「瑕疵担保責任」は売主が負うことになります。
「買取」の場合、いったん不動産会社が買い取り、その後、販売した物件に瑕疵が見つかったとしても、「瑕疵担保責任」は買い取った不動産会社が負うことになり、売主に責任はありません。
インターネットで、国土交通省による「不動産トラブルデータベース」を見ることができますが、そこに「瑕疵担保責任に関するもの」という項目があります。
いくつもの事例が掲載されていますが、こうした項目があるのも「瑕疵担保責任」に関するトラブルが多いということを意味しているとおもいます。
万一、自身が売却する不動産に大きな欠陥が見つかった場合、修復に多額の費用がかかる場合もあります。
安心して「売る」ということ
「買取」にも「仲介」にもメリットとデメリットがあります。どちらが良い、悪い、ということはありません。ただ、仲介を選ぶか買取にするか、その判断基準の一つに「安心して売る」ということがあるとおもいます。
「買取」には、「仲介」にある「いつ売れるかわからない」という不安や、「売ったあとで買主から苦情が来ないか」という不安がありません。
不動産を売却するには、損得のほかにこうした点も十分検討する必要があるのではないでしょうか。